生協総合研究所 創立30周年 記念講演会を開催しました。
生協総合研究所は1989年に創立され、2019年で30周年を迎えました。これも一重に皆様のご支援の賜物と深く感謝申し上げます。
11月29日に主婦会館プラザエフにて、30周年記念講演会を開催し、127名の参加をいただきました。
記念講演会では、作家・ジャーナリストの河合雅司氏より「『未来の地図帳』人口減少日本で起きること」と題し、ご講演をいただきました。
冒頭、「平成の30年間よりも令和はさらに激変の時代になるだろう。生協の役割も大きくなると思うが、生協も今の延長線では対応できない。」と語られ、著書『未来の地図帳』に書かれたポイントを話されました。2115年には人口は現在よりも半減し5,056万人になるなどをデータに基づいて紹介され、特に、人口減少のスピードが都道府県、市町村で大きく異なってくることに注目し、地域の実情に応じて対応を考えていくこと大事になるとの指摘がありました。
これからの高齢社会は、①高齢化する高齢者(増えるのは80歳以上)、②女性高齢者の増加、③1人暮らしの高齢者の増加、④貧しい高齢者の増加、という4つの特徴があり、一方で「社会の支え手」である就業者は2040年までに1,285万人も減少することから、これまでとは全く違う成長モデルを考える必要があると強調されました。最後に、「小さくとも豊かな国」を目指すべきであり、高齢化で変わるマーケットへの対応と「歩いて日常生活が完結できる街づくり」を提起いただきました。
続いて、前生協総合研究所理事長であり、福島大学教授の生源寺眞一氏より「30年をふりかえり、未来に期待する」と題し、ご講演をいただきました。生協総合研究所が創立された1989年10月は、まさにバブル経済が頂点に達した時期でした。その後の日本の社会経済のあるべき姿について、生協総合研究所は「集いの館構想」をはじめ、積極的な調査研究、提言を行ってきました。自身の専門分野である農業経済学、フードシステム論の観点から、農産物や食品の取引と生協のポジション、環境保全型農業を支えていく上での生協の情報発信力への期待について触れられました。最後に、生協総合研究所の未来への期待として、豊富な生協の組織と人脈を十分に活かしていくこと、海外との研究交流、助成事業の継続、若手や中堅の研究者の育成、生協学のさらなる発展などを提起いただきました。
なお、30周年誌として『新しい地域社会をめざして 生協総研30年のあゆみ(1989-2018年度)』を刊行いたしました。ぜひご一読いただけますと幸いです。