知の市場

第13回講義概要「平和を考える」

○ 開催日時
2019年7月10日(水)15:00~16:30
○ 開催会場
大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ

福島加南子(日本生活協同組合連合会 組合員活動部)
 「平和を考える」

概要

 第13回講義の講師は、日本生活協同組合連合会(日本生協連)の福島さんです。先の太平洋戦争から現在に至る国内外の情勢の中で平和の意味を考えたり、生協における平和活動の歴史、広島・長崎への原爆投下に始まる核兵器開発・拡散の歴史と被爆者の苦悩、NPT(核兵器不拡散条約)、核兵器禁止条約などについて説明いただいた後、ヒバクシャ国際署名など「私たち一人ひとりにできること」も紹介していただきました。

受講生の受けとめ

 学生たちが今回の講義後に提出したレポートの一部を、抜粋して紹介します。

Q 生活協同組合(団体)について興味や関心を持ちましたか?

Aさん
生協が平和活動もやっているとは知りませんでした。生協は食品のイメージが強かったのですが、平和活動を長く続けてきた歴史があることを知りました。

Bさん
「平和とよりよい生活のために」をスローガンに、戦争を再び起こさないために、長年にわたり平和活動を行っているということを知り、自分にもできることがあるのではないかと思い、生協の平和活動に興味がわきました。

Cさん
生協が「ヒバクシャ国際署名」に取り組んでいることに関心を持ちました。全国の生協が核兵器廃絶のために署名を呼びかけることは知らなかった。世界の平和のための大きな一歩だと思う。

Q この講義のポイントは、どこにあったと思いますか?

Dさん
平和とは戦争のない世界というだけでなく、毎日朝起きて、朝食を食べて、学校へ行き、帰宅して、夕食を食べて、就寝するという、当たり前のようだが普通の生活ができることを平和と呼ぶ。世界では戦争の他にテロなど、日常生活をおびやかす事が起きている。そして現在、核兵器禁止の動きが広がっている。そこで私たちにできることは、関心を持ち、原爆について調べ、イベントや署名活動に参加することである。平和を広め、核兵器のない世界を追求する勇気を持つことが大切である。

Eさん
「平和とは何か」「世界に目を向けると戦争は無いといえるか」「戦争が無い世界が平和なのか」の3つが今回の講義のポイントであると思いました。私たちにとって戦争はすでに過去のものとなりつつあり、戦争と聞いてもあまりピンとこない人もいると思います。今でも世界中で戦争や紛争が起こっていますが、自分たちに直接的な被害が無い=平和であると思っている日本人は多そうだなと思いました。戦争について考える、戦争が終わった後のことを考えるというのは大切な事であり、平和に歩み寄るにはその考えを実現していくことが必要であると思います。

Fさん
平和とは何か。核がなければ、戦争がなければ平和といえるのか。それを考えるのはすごく難しいことだなと思いました。世界に今核兵器が存在していても、私は日本に住んで日々の生活を見て平和かどうか問われれば、平和と答えると思います。でも、それではいけないんだなと思いました。今現在、紛争や内戦に苦しみ、兵器におびえる人々がいるのであれば、対岸の火事と思わずに、声を上げていくべきだと気づかされました。平和で豊かな日本の生協だからこそできることはたくさんあると思うし、応援したいと思いました。核抑止論と核兵絶論に関しては、理想は各廃絶論だと思うけれど、もう核兵器が生れ、保持してしまった以上、核抑止論は根強いものになるんだろうと思いました。

Q この講義や生活協同組合(団体)に対する意見・感想はありますか?

Gさん
生協と「平和、戦争、核兵器」の関係が最初はないと思っていたけれど、意外とあることを初めて知ることが出来た。また学ぶことがとても大切なのだと思った。自分の今の日常がとても幸せであると思った。平和=戦争がないことだけだと思っていた。でも他の国で戦争が行なわれていたり、昔の日本であった戦争について学べる場所があることは、今の時代の人たちにちとって、すごく大切でなくてはならないものである。そのため、そのような機会を大変ではあるがもっと作り、受けついでいかなければならないと思う。また、沖縄の今の状況も理解するべきだ。

Hさん
生協では戦争がない世界、核兵器のない世界が平和であると考えている。その中で平和を守るために戦争・核について調査し、世界に向けて活動していて活動の幅広さを感じた。また今回の講義で私自身、改めて平和について考えさせられたので、とても良い機会であった。日本は被爆を経験した国であり、恐ろしさを知っているからこそ、核廃止に向けて活動する必要があるというのをより感じた。私たちが直接できることというのはなかなか難しいと思うが、もっと知っておくことができることであり、知ったことを生かして、イベント参加するなどして平和に向けた活動をすることで、関わることができると思った。

Iさん
今、日本は他の発展途上国と比べてとても平和ですが、この平和はかつて日本が戦争をしていた事実の上に成り立っているということを忘れてはいけないと思いました。構造的暴力というのは初めて聞きましたが、世界的には経済的に豊かだと思われている国にも貧富の格差が大きくあったり、一言で“平和”を目指すといっても難しい問題なのだなと思いました。生協の前提として平和とよりよい生活というのは欠かせない条件であるというのは、国民が主体となり互いに協力するという本質から見ても当然のことだと思いました。沖縄のアメリカ軍基地の問題は、離れたところに住む私たちはつい忘れがちですが、本当はすべての日本国民が真剣に向き合わなければならない問題なのだと痛感しました。核兵器の保有に関しては、すべての国が核を捨てることが最も理想ですが、条約に反発して核を持っているかもしれない国を考えると、容易に捨てられるものではないと思ってしまいます。広島に落とされた原爆よりも、長崎に落とされた原爆の方が大きかったというのは初めて知りました。地理的状況から長崎の方が被害が少なかったということですが、それでも7万人以上の犠牲を出してしまったというのは、本当に今聞いてもショックを受けます。高校生の時、総文祭という全国から高校生が集まって行う文化祭のようなものに参加し、その開催県がたまたま広島県だったため、平和記念資料館と原爆ドームに行きました。記念資料館には当時の悲惨な状況をあらわす遺留品や当時の写真、復元模型などがあり、とても悲しい気持ちになったのを覚えています。また、当時の様子を知る被爆者のお話がビデオで流れており、痛ましい戦争の記憶を今後も語り継いでいく必要があると感じました。この歴史の重みを忘れることなく、二度とこのような戦争を起こしてはいけないと強く思いました。