知の市場

第6回講義概要「子どもの貧困を考える」

○ 開催日時
2019年5月22日(水)15:00~16:30
○ 開催会場
大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ

前田 昌宏(日本生活協同組合連合会 サステナビリティ推進部)
 「子どもの貧困を考える」

概要

 第6回講義の講師は、日本生活協同組合連合会(日本生協連)の前田さんです。日本における貧困の状況を踏まえた上で特に子どもの貧困問題について詳しく解説し、諸団体とともに進めている「子どもの未来アクション」などの生協の取り組み事例を紹介していただきました。また、奨学金の問題についても説明いただきました。

受講生の受けとめ

 学生たちが今回の講義後に提出したレポートの一部を、抜粋して紹介します。

Q 生活協同組合(団体)について興味や関心を持ちましたか?

Aさん
生活協同組合が「子ども食堂」に対して現状や状況を知らせ、共感する人を増やしたり、子ども食堂、学習支援などを行って、地域の活動の場づくりの支援、物資・資源の提供、食分野への支援などとても関心を持てる部分が多かったです。

Bさん
「子どもの未来アクション」という運動について、とても興味を持ちました。大人達がディスカッション・動画による紹介・意見交換を行い、理解・共感の輪を広げる活動を行っていて、このようなネットワークを築きながら子どもの貧困問題に取り組むことは、とても大事なことだなと感じました。

Cさん
生協が「子どもの貧困」に取り組む理由として、「助け合い」や「地域」という言葉が出てきたが、地域との繋がりが希薄となっている現代の日本に必要なものだと思うので、この社会問題をどのように改善・解決していくのかに興味・関心を持ちました。

Q この講義のポイントは、どこにあったと思いますか?

Dさん
子どもの貧困は「貧困の連鎖」を通して問題を拡大させ、その問題に加え、子どもは「どんな環境に生まれてくるか」選べない。貧困は目に見えるものばかりでなく、「相対的貧困」という目に見えにくく、実感しにくい貧困というものが存在する。日本における子どものいる世帯への税制と社会保障制度による所得再分配機能は小さい。子どもの貧困問題に取り組むことは長い目で見て、解決に役立つのではないか。

Eさん
子どもは「どんな環境に生まれてくるか」を選べない中で、子どもたちによりよい社会を受け継いでいくために何ができるか。まずは子どもの貧困を学び、理解すること。そして、子ども食堂や学習支援を通して、居場所づくりをすることで、貧困の子どもが陥りがちな孤立から救ってあげることが大切だと思いました。今回の講義で初めて知ったフードバンクやフードドライブのようなシステムは素晴らしいなと思いました。貧困の家庭が助かるのはもちろん、食品のロスを減らすことができるのがとても良いと思いました。今回の講義を聞いて、大学生のボランティアが増えたら、この問題に対しても大東の学生にとっても良いことだと思いました。

Fさん
なぜ生協が「子どもの貧困」に取り組むのかというところにポイントがあったと思います。身近な問題である貧困に対して地域の助け合いが必要であるというのが、とても強調されていました。生協が関わることにより今まで関わることがなかった隣人や他の人が加わり、より共感や結束力が強まるので、防犯や子どもを見守ることができるので生協が貧困に取り組むことがとても大切であるということを考えました。

Q この講義や生活協同組合(団体)に対する意見・感想はありますか?

Gさん
私は今、毎日食事をとり、ベッドで寝て、大学に通って…という日々を過ごしている。しかしそれはあたり前のようで、本当はとても恵まれていることなのだと改めて実感した。日本の子供の7人に1人が貧困という割合の高さにとても驚いた。そこで生協が貧困の子供に向けて、子供食堂、学習支援、フードバンクへの支援を行っていると知り、素晴らしい活動だなと思った。家庭の事情でその子の将来をつぶしてしまうのは、とてもつらい。この生協の活動を通して、1人でも多くの子供の心の支えになる場所や、生活の支えになる場所をつくって、子供達が明るい未来をつかめるような社会になって欲しい。そして自分自身も協力できることがあったら、協力していきたい。

Hさん
日本は相対的貧困が問題になっているもので、絶対的貧困よりも子どもが感じる負の感情が大きいのかなと思いました。周りと自分を比べて「自分は友達より少し貧しいのかな」と感じることは、子どもにとってとても嫌なことだと思うので、少しでもそう感じる子どもが減るといいのにと思います。子どもの貧困が社会的損失につながると分かっているのに、日本は子どものいる世帯への税制の所得再分配が少なかったり、奨学金制度が良いものではなかったりしているので、高齢者にだけではなく子どもが充実して生活できるような制度も整えてほしいと思いました。子どもに何が起こっているかを知る機会がもっと増えていいのではないかと思いました。

Iさん
「貧困」と生協を結びつけた時に、やはり「助け合い」ということを第一に考えていて、「貧困は世代を超えた助け合い」ということには感銘を受けました。また、食事を通して何かサポートをしている事業に生協のルーツが見えた気がします。「子どもの貧困」について、どう理解し、どう改善していくかなどの学習型コミュニティも開催されていて、学習の取り組みを通して、社会の一員として考え、助け合うことが大切だということを感じました。