第4回講義概要「食の安全・安心を考える」
- ○ 開催日時
- 2019年5月8日(水)15:00~16:30
- ○ 開催会場
- 大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ
早川 敏幸(日本生活協同組合連合会 品質保証本部 安全政策推進室)
「食の安全・安心を考える」
概要
第4回講義の講師は、日本生活協同組合連合会(日本生協連)の早川さんです。
リスクアナリシスの考え方を中心に食品の安全と安心について、日常の食生活で気をつけたいことなども含めて説明いただきました。
受講生の受けとめ
学生たちが今回の講義後に提出したレポートの一部を、抜粋して紹介します。
Q 生活協同組合(団体)について興味や関心を持ちましたか?
Aさん
正直に言うと、生協に品質保証本部という部署がある事を知りませんでした。日々の生活に、生きていくのに必要な食の安全に対する役割をしてくれていて頼もしいですし、どんなことをしているのかという面をより知りたいと感じます。
Bさん
「食品添加物」をただ否定するだけではなく、不安を取り除く方法や、なるべく減らすような取り組みを考え、私たち消費者に安全・安心を提供していただいていることに関心を持ちました。
Cさん
食品添加物を不安に感じている組合員に対して食品添加物を減らした商品を開発して提供しているだけだと商品選択に悪影響を与える可能性が高いので、試行錯誤しているという面に、本当に組合員のことを考えていると思い、関心を持った。
Q この講義のポイントは、どこにあったと思いますか?
Dさん
大切なのは「リスク評価」や「リスク管理」をするリスクアナリシス(リスク分析)である。残留農薬や食品添加物の健康に影響が出ない量などの判断や、安全な量以上は使わないルールを決めることでしっかり管理ができる。また、どのような情報や意見があるのか交換を行い、取り入れることも必要である。リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションがそれぞれに関連しあって、機能させることが必要である。
Eさん
「安全です」という表示があっても、安心できるわけではない。その表示をする人や団体が信頼できるかどうかということが重要であり、安全確保というのが大前提であるとわかった。今回の講義は、農薬や添加物など衛生面からの“食の安全”もそうだが、今後の食料を確保しなければならないことについても触れられていて、様々な観点から“安全性”について学ぶことができた。農薬は全く無いから無害ではなく、農薬の量を事前に調べしっかり考えて決定することで、たとえ農薬を使っていたとしても安全に摂取できるということが知れて良かった。
Fさん
食品の安全情報の読み方で「危険」「効く」といった極端な情報は警戒しなくてはいけないこと、「天然だから安全」といった言葉には要注意であることがわかりました。自分の感覚にあう情報を正しいと感じず事実を確かめること、行政や公的機関の情報も必ず確認すること、情報の出どころやいつの情報かを調べることが重要であることがわかりました。
Q この講義や生活協同組合(団体)に対する意見・感想はありますか?
Gさん
これまでスーパーやコンビニで食品を購入する際に「無添加」や「無機物」というワードに安心が生まれるため、どうしても「食品添加物」などの化学製品に抵抗があり食品購入をためらっていたが、本講義で「リスクアナリシス」のサイクルを知り、今まで持っていた固定概念が変わり、正しい量や質の化学製品を知ることで、安全な食品の確保だけでなく、経済的にも品質が良く量産できる食品の確保ができるのだと知ることができました。
Hさん
僕個人としては、食品添加物や農薬など食品への不安を特に気にせず生活しているのですが、そういったことを気にする人に対してどうやったら安心感を与えられるかを、なぜ不安に思うか解析して対策を考えているのがすごいと思いました。農薬を使っているから悪い、無農薬だから良いというのではなくて、それぞれ共存していることで価格や品質に差がでて、消費者としては選択肢が増えて良いのではないかなと思いました。また、今回の講義のように正しい知識を普及していくことが大切だと思いました。そうすることで添加物や農薬のメリットにも目がいくと思うし、消費者それぞれが考えた上で選択をすることができるなと思いました。健康食品による健康被害の例を見て、健康になりたくてそういったものを摂取して被害を受けてしまうのが、本末転倒で気をつけたいと思いました。
Iさん
今まで「なんとなく良くないもの」と思っていた添加物や農薬ですが、今回の講義を聞いて、正しくリスク評価されたものを正しい量使用すれば安全で、食品の流通に役立つという認識に変わりました。何ごともバランスよく、正しい量を摂取することが一番大切という当たり前のことに気づかされました。私は、食品の安全についての情報を消費者に伝えた上で、それでも不安な消費者のために一つの選択肢として添加物や農薬を使用しない食品も取り扱うべきであると考えます。