第13回講義概要「高齢化社会に備える」
- ○ 開催日時
- 2017年7月12日(水) 15:00~16:30
- ○ 開催会場
- 大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ
山内 明子(生活協同組合コープみらい 福祉事業本部執行役員)
「高齢化社会に備える」
概要
今回の講義はコープみらい福祉事業本部の山内さん。今日本は、世界でも類を見ない超高齢社会に突入しています。学生たち若者が知っておくべき現実と問題点を講義していただきました。
総人口に対して65歳以上の高齢者人口が占める割合を高齢化率という。世界保健機構(WHO)や国連の定義によると、高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会を「高齢社会」、21%を超えた社会を「超高齢社会」という。
日本の人口は、2000年の国勢調査からは1億2,700万人前後で推移していたが、2020年には1億2,410万人、2030年には1億1,662万人となり、2050年には1億人を、2060年には9,000万人をも割り込むことが予想されています。一方、高齢化率は上昇することが見込まれており、2025年には約30%、2060年には約40%に達すると見られています(国立社会保障・人口問題研究所の推計)。人口減少、高齢者人口の増加、介護人口の増加、認知症の人の増加。高齢社会の課題として、誰が高齢者を支えるのか、増加する認知症の人の支援は大丈夫か、経済は成長するのか。
高齢者になったからといって、必ずしも介護が必要になるわけではありません。多くの方は健康で毎日を過ごしておられます。年代があがれば、介護が必要になる方の割合は増えますが、70歳代後半で介護の必要な方は、13.76%、80歳代前半でも26.9%です。逆に言えば、70歳代後半の方は86%が、80歳代前半では73%がお元気ということになります。こういった、元気な状態を維持する(健康寿命を延ばす)ために、必要なことは、①にバランスの良い食事、②に適度な運動、③が社会参加といわれています。この状態を維持するために、「生活支援、介護予防」という概念が地域包括ケアシステムの要素の4つ目に入れられました。
地域に何が必要となるか、高齢者の視点から見てみましょう。すまい。自宅に加え、サービス付き高齢者向け住宅などの場所も近年用意されるようになりました。本人の選択によって、どこで暮らしていくかが、まず重要になります。去年の11月に、コープみらい二棟目となる「コープみらいえ中野」を開設しました。みなさんも、これから、ご自身、または家族の今後のすまいについて決断を迫られるときが多々あると思います。自宅が狭くて車椅子が入らない、火元が心配、お風呂に自分で入れないなどの課題をかかえると、サービス付き高齢者向け住宅などを選びたいと思われるケースもあるかと思います。病気になったときは、病院、クリニックなどでお世話になります。また、病状が落ち着いたら、介護サービスなども利用しながら、すまいに戻る、ということになります。コープみらいの福祉事業では、在宅生活を支えるサービスを提供しています。
誰もが、中途障害者・社会的弱者になります。だから、「安心して弱者になれる社会をつくろう」(上野千鶴子著『おひとりさまの最期』(朝日新聞出版))、「自分がくらしたいところで、生ききる」「介護が必要になる期間を短くできる=健康寿命を延ばす」「『助けて』といえる力をつけよう」「家族以外のつながりを、なるべくたくさんつくろう」「どんな社会を望むかを考えて、選挙に行こう」。
受講生のレポートより