第8回講義概要「消費者力を高める」
- ○ 開催日時
- 2017年6月7日(水)15:00~16:30
- ○ 開催会場
- 大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ
磯辺 浩一(特定非営利活動法人 消費者機構日本専務理事)
「消費者力を高める」
概要
今回の講義は、消費者機構日本の磯辺さん。消費者機構日本は、現在日本で唯一の特定適格消費者団体です。特定適格消費者団体とは、消費者契約における被害が同じ原因で数十人以上発生した場合、消費者の代わりに被害回復訴訟を起こすことができる団体です。消費者被害は年間数兆円にものぼります。消費者としての自覚を持ち、必要な知識を身に付けることは、社会生活、家庭生活を営んでいく基礎だと言えます。また、消費者が本当に良い商品やサービスを選択することが、良い事業者を育てることにつながっています。よい消費者になるために何が必要かを学生たちと共に考えました。
はじめに、消費者問題の最近の動向について消費者白書(平成28年)より概観しました。消費生活センターに寄せられた相談件数は約90万件(2005年度)にのぼります。そして消費者基本法と消費者団体についての解説に続いて、消費者力を高めるための話に入りました。消費者団体の国際的組織である国際消費者機構は消費者の8つの権利と消費者の5つの責任を提唱しています。消費者力を高めるには、一人一人が、自ら情報収集し、理解し、実践する。身近な周囲の人にも情報提供やサポートを行い、その実践を促す。課題解決に向けて、社会(行政機関、団体、事業者等)に働き掛ける。具体的な行動としては、商品のラベルをよく読み、より安全・安心な商品を選択する。説明書をよく読んで使用する。周りの人が誤った使い方をしていれば注意する。安全性に疑問がある場合には事業者に質問し、トラブルが発生した場合には、事業者に情報提供し、原因を確認するとともに、再発防止を要請する。生活面や契約に関しては、収入水準に見合った支出を行う。環境や社会に配慮した商品やサービスを選択する。消費者のための制度(クーリング・オフ等)について理解するとともに、高齢者の見守り活動に参加し、こうした制度を活用する。自分の人生のプランを作成し、その資金計画を考える。情報とメディアに関しては、商品情報(パンフレット、広告等)、市町村や消費生活センターなどの発信する消費者情報、被害情報等を収集するように努め、それらをソーシャルメディアなどを活用して発信・共有する。消費が環境や社会経済に与える影響に関する情報に関心を持ち、情報の収集・検討・発信を主体的に行う。
全国の生協では、消費者力向上を図るためシンポジウムや学習会などを開催しています。特殊詐欺や悪質商法の実態を知り被害にあわないように対処する方法、高齢者の3K(金・健康・孤独)の悩みをつく手口について知識を深めています。近年は、学生が、特に、インターネットやデジタルコンテンツに関わる被害者になったり、また、知らず知らずのうちに悪質商法(マルチ商法等)の加害者になっている場合もあり、こうしたことを防止する必要があります。実例として「東京くらしWEB」を見ながら、キャッチセールス、アポイントセールス、マルチ商法/マルチまがい商法、架空請求・不当請求の解説がありました。最後に、これから社会人になる学生のみなさんへ、社会に出て働くよう(事業者側)になったときに、今回の講義のことをフィードバックして考えることが大切と話されていました。
受講生のレポートより