第7回講義概要「食の安全・安心」
- ○ 開催日時
- 2017年5月31日(水)15:00~16:30
- ○ 開催会場
- 大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ
鬼武 一夫(日本生活協同組合連合会 品質保証本部安全政策推進部長)
「食の安全・安心」
概要
今回の講師は日本生協連品質保証本部の鬼武さんです。日本人の食の安全・安心に対する関心は非常に高いものがありますが、それはどこまで理解されているのでしょうか。日本の食料自給率は40%(カロリーベース)を切っています。グローバリゼーションが進展するなか、世界の食品安全について、そして日本の食の現状はどうなっているのか。生協が今力を入れていることは何かについて講義していただきました。
人の健康=すべての人の疾病の少なくとも60%は動物を起源としている。動物の健康=食用動物の病気が原因で世界規模で20%の生産の損失。生態系=過去30~40年の新興感染症は野生の土地と人口の変化等の侵食に起因している。すなわち「One Health」=ヒトの健康、動物の健康および生態系は密接なつながりがある。過去半世紀以上に亘って、農場から食卓までの食料を得る工程は劇的に変わってしまった。一ヶ所で起きた食品汚染は地球の反対側に住んでいる消費者の健康に影響を与える可能性がある。このことは、国際化した世界におけるフードチェーンに沿って全ての者が、生産者から消費者まで、安全な食品の取扱い慣行に注意しなければならないことを意味している。
続いて、食品安全に関する10の事実の説明のあと、食中毒及び食事と栄養についての各論に入りました。
食中毒の原因には、細菌、ウィルス、寄生虫、自然毒、化学物質があること。具体的な事例を挙げながら、カンピロバクター食中毒、乳児ボツリヌス症、ノロウィルス、寄生虫による食中毒等の問題点と対策について。そのほか、新興感染症(HIVやエボラ出血熱等)、抗菌剤耐性等についてそれぞれ解説していただきました。
次に、食事と栄養については、症例としてK.O氏のエピソードが紹介されました。海外出張でホテル滞在1日目、朝食レストランでバスケットに山盛りされたオレンジとハンドジューサーを発見。それから毎日オレンジ5個の生絞りジュースを8日間飲み続けて帰国。出張前の喉の痛みは癒えたものの、その後の定期健康診断で下された結果には明らかな異常値が、、、。ビタミンCを摂るつもりが同時に果糖を必要以上に摂ってしまう。オレンジ果物そのものを食べていれば1食で5個は食べられないが、ジュースにすれば簡単に摂れてしまう。ジュースは健康によいと言えるが、一部成分の過剰摂取には注意が必要である。としみじみと述懐されていました。
続いて、塩分の取りすぎ。日本人男女とも、どの世代でも目標値(6g)より2g多いこと。総摂取量のうち約7割を調味料・香辛料から摂取している。無理なくできる減塩方法の紹介。そのほか、栄養成分表示の見方。カフェインの過剰摂取と危険性について。「健康食品」とはどんなもの?バランスと腹八分について説明をしていただきました。
受講生のレポートより