第2回講義概要「変わる大学生活」
- ○ 開催日時
- 2017年4月19日(水)15:00~16:30
- ○ 開催会場
- 大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ
毎田 伸一(全国大学生活協同組合連合会 専務理事)
「変わる大学生活」
概要
第2回講義からいよいよ各論に入ります。今回は大学生協連の毎田さんです。大学生協は、学生の意識と行動調査を長年続けています。大学生の生活はどう変わってきたのか。大学や大学生活の変化に対応して大学生協が大学生活を充実したものにするために何をしようとしているのか。常に学生に寄り添い学生と共に歩んできた大学生協の取り組みについて講義していただきました。
最初の大学生協は1898年同志社大で消費組合が結成されたのがはじまりです。その後、軍国主義の下での生活物資統制と弾圧により解散。そして、終戦直後「学ぶことは食うこと」の時代に、現在の大学生協は誕生しました。
では、現在日本の大学生が抱える「諸問題」は何だろうか。大学生協が行った学生生活実際調査(2010年~2016年)によれば、仕送りや奨学金の減少をアルバイト収入の増加が支えている傾向が続いています。奨学金を借りている学生が急増(2割⇒5割)し、かつ親世代が学生時代に借りていた額と比較すると、全体的に貸与額が上昇し高額になっていることがわかります。さらに、非正規雇用の増加と正規雇用労働者の待遇悪化により、奨学金返済が困難になる経済状況があります。
大学生活の重点にも変化が見られます。1990年には「豊かな人間関係」が24.1%、「勉学」が20.3%であったのに対し、2016年には「勉学」が29.1%、「豊かな人間関係」が11.9%と逆転しています。また、気になっていることは、「生活費やお金のこと41.8%」「授業レポートなどの勉学上のこと38.7%」「就職のこと35.7%」「恋愛のこと19.8%」の順になっています。就職活動は、この1年間にインターシップに参加したことが「ある」と回答した学生は3年生で28.5%(文系40.4%)、4年生で35.2%(文系49.2%)になっています。また、世間で話題を集めた「大学生の読書時間」は、1日の読書時間ゼロと回答した学生が49.1%(前年45.2%)になりました。
大学生協は、変化する大学生の生活環境に対し様々な取り組みを行い、新しいチェレンジをしています。たとえば、大学生協の食堂では、食生活が乱れがちな大学生に朝食をきちんと食べてもらおうと安価でバランスのとれた「○円朝食」を提供、自分で栄養管理ができる「学食パス」の導入。「在学中に本を100冊読もう」読書マラソンの取り組み。新入生向けのパソコン講習会では、その大学に特化した環境設定や使い方の講習を行っています。旅行では、世界のボランティア・NPO活動を見て体験する「テーマのある旅」。自転車事故を防止する取り組みと万一事故に合った場合の「共済・保険事業」。大学生が狙われるトラブルの防止について等々です。
大学生協は、このように変わる大学生の生活について様々な取り組みを行っています。そのアプローチは、企業(コンビニ・書店・外食)や公共(大学・行政)と似ているように見えて実はちょっと違います。「協同組合」という、どちらでもないセクターにいるからです。とはいえ、実際に行っている仕事は、結構地味です。「朝食をとろう」「友達をつくろう」「自分を成長させる旅行をしよう」…。でも、これらのことが、新しい社会の実現を目指すことにつながると思います。
受講生のレポートより