第1回講義概要「現代社会と協同」
- ○ 開催日時
- 2017年4月12日(水) 15:00~16:30
- ○ 開催会場
- 大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ
二村 睦子(日本生活協同組合連合会 組織推進本部組合員活動部長)
「現代社会と協同」
概要
今年度も4月12日から「生協社会論」がスタートしました。第1回講義は、日本生協連組合員活動部部長の二村さん。講座全体のオリエンテーションとして「協同組合」とは何か。その基礎知識と活力ある社会を作るために協同組合、生協ができることは何かについて講義していただきました。
協同組合とは、人々が自分たちのねがいを実現するため生み出したしくみ・知恵。7つの協同組合原則が定められており、ユネスコの「無形文化遺産」にも登録されています。協同組合がある国や地域は94か国以上、組合員は世界全体で10億人を超えます。
日本の協同組合には、生協、農協、漁協、森林組合、事業協同組合、労働者協同組合、住宅協同組合、信用協同組合などがあります。その中でも生協(CO-OP=コープ)は、地域生協、大学生協、職域生協、医療生協、共済生協、住宅生協など、全国で約560の生協があり2,820万人の組合員が加入し、事業高は約3.4兆円の規模があります。生協の事業には、店舗、宅配、共済の3つの柱があります。さらに、福祉、移動店舗や夕食宅配など社会の様々なニーズに対応した事業にも取り組んでいます。くらし(=消費生活)の領域での「協同組合」の形。くらしの様々な願いを事業(=継続的・安定的に対応できるしくみ)として実現する。それが生協です。
生協はどのように運営されているのでしょうか。たとえば、当大学の大学生協の定款(=運営ルール)に、協同組合の原則や定義を見ることができます。生協は、出資して組合員になり、協同で運営・利用する組織であり、組合員は出資額に関わらず一人一票の議決権を持っています。株式会社がより多く出資した人(株主)に議決権があるのとは大きな違いがあるでしょう。
協同組合の歴史は、19世紀のイギリスにさかのぼります。産業革命の時代、多くの人々が低賃金・長時間労働を強いられ、常に失業の不安にさらされていました。工業都市マンチェスターの北東にあるロッチデールという町で、自らの手でより良い社会を生み出そうと「ロッチデール公正開拓者組合」が設立されました。7項目からなる運営原則を定め、これは「ロッチデール原則」と呼ばれ、その精神は今日の世界の協同組合原則に受け継がれています。
協同組合は、社会やくらしの変化にあわせて積極的に形を変えていきます。しかし、平等な一人一人が力をあわせて自分たちのねがいを実現するという本質は変わりません。この授業では、今の社会で「協同組合」というしくみを様々な形で使っている人たちが登場します。貧しく、労働やくらしに追われるロッチデールの労働者たちが、自分たちのくらしをよくするために生み出し、世界中に広がっていった「協同組合」という知恵を学ぶことは、これからの社会や皆さんの人生の役に立つと思います。
今年度も、講義の概要・その感想などを受講した大東文化大学の受講生に報告してもらいます。初回は3人の受講生に報告してもらいました。