- ○ 開催日時
- 2015年5月20日(水) 15:00~16:30
- ○ 開催会場
- 大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ
内山 和夫(日本生協連 商品政策部産直グループ)
「地域の活性化 - 産直」
概要
今回の講義は「地域の活性化と生協産直」についてです。日本生協連商品政策部産直グループの内山和夫さんを講師に迎えお話しいただきました。
冒頭、内山さんから「食べる大切、食べることは生きること」という話がありました。
生化学者ルドルフ・シェンハイマーの「生命とは、代謝の持続的変化、この変化こそが生命の姿である。」という言葉を引用され、人が生きていくために「食べる」ということが、いかに重要であり、いかに重視されるべきかという説明をいただきました。
食べることを大切に考えるならば、確かな食品を選ぶ必要があります。自分が手に取った食品が確かなものであるか否かを判断できるものとして、
1)安全性が確保できているものであること、2)正しい表示がなされていること、3)トレーサビリティーが確保されていること、4)栽培や流通の工程が明確であること
が挙げられるそうです。そして、これら4つのことがきちんと検証されていることが重要であると内山さんは言います。
これらの話を前提として、生協産直における「安全・安心」へのこだわりが説明されました。適正な規範に則り適正なルートで農産物を消費者に届ける。当たり前のことですが、改めて仕組みの説明を受けると、その大変さがわかります。
また、生協産直は1)地産地消の推進、2)食料自給率の向上、3)事業を通じたコミュニティの再生、4)環境保全、資源循環、生物多様性、5)交流・ネットワークの強化といった多様な広がりをみせていることもお話いただきました。 その一つ「地産地消の推進」は、地域の食と農を循環させ、地域の活性化を進めていくのが目的とのことで、各地の生協における取り組みが紹介されました。中でも興味深かったのが、地域の特産品を生かした商品づくりです。地域内産地と連携しての商品づくりには、地域の食文化を守るという側面もあるとのことです。確かに今や日本のどこにいても似たような商品を手に入れることができるようになった半面、地域特有の食文化が失われていく場面があります。内山さんから商品開発事例の説明をしてもらい、地域特産品を消費者に知っていただくためには商品開発や販路拡大といった苦労があること、生産者に元気になっていただくことが地域の活性化の一つであることを知ることができました。
講義の最後には、「食べる大切」というキーワードに関連し、食事をとおした人間関係の構築についてのお話がありました。学生意識調査の国際比較において、日本人の学生はコミュニケーション力や他人に対する信頼感が低いというデータがあるそうです。内山さんは「家族や友達と一緒に食事をすることでコミュニケーションや連帯の意識が生まれます。皆さんにはそれを大事にしてほしい。」と仰いました。
日々の「食べること」を様々な面から大事にしていきたいと感じさせられた講義でした。
6回目は、全国大学生協共済連の寺尾善喜さんが「学生を取り巻くリスク」について講義します。