知の市場

○ 開催日時
2015年4月15日(水) 15:00~16:30
○ 開催会場
大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ

高山 栄(生活協同組合コープみらい)
 「宅配から見える日本社会」

概要

 知の市場「生協社会論」二回目のテーマは、「宅配から見える日本社会」。一回目の概論を受けて、この日から生協が行っている事業、社会活動についての各論の講義が始まりました。コープみらい広報部の高山栄さんが、生協の宅配の中で力を入れている高齢者の見守り活動を通じて見えてくる日本社会の高齢化問題を中心に話をしました。

 高齢化と言っても、受講している大学生にはピンとこないかもしれませんが、高齢化率が39.9%にもなる2060年には受講生の多くが高齢者の仲間入りするという指摘は、この問題を身近に感じるヒントになったかもしれません。

 生協は、店舗や宅配で商品を組合員に届けていますが、宅配の利用者が増えています。毎週一回注文の品物を玄関先まで届けているほか、ほぼ毎日夕食を届けることもしています。高齢化や一人暮らしが増える中で、品物を届ける配達職員が気になったり、心配になったりすることが出てきます。東京都生協連が行ったアンケートでは、7割の配達職員が「認知症と思われる」などの理由で、気になる組合員がいると答えています。実際、宅配での救護件数も急増しています。このため、生協では宅配の途中で、気になることがあった場合、自治体などに連絡する見守り協定を結んでいます。コープみらいの関係、千葉、埼玉、東京の1都2県では114自治体と協定を結んでいます。また、配達職員も含め、認知症についての基本的な知識を持つ認知症サポーターの養成もしています。

 宅配は玄関先まで届けることですが、コープみらいは、新しい試みにも取り組んでいることが紹介されました。埼玉県のある団地では、スーパーが撤退した後に、団地の集会所のような場所に拠点を設け、そこに届けた品物を住民の組合員さんに取りに来てもらっています。買い物に出てきてもらうことで、お年寄りが家の中にこもり切りにならないというメリットもあるそうです。

 ただ、高山さんは生協の宅配は、ただ便利に品物を届けているのではなく、品物を届ける職員と組合員さんの間で、笑顔やありがとうの交流があることにこそ、意味があるということを強調していました。

 大東文化大学での「生協社会論」は毎週水曜日15時からです。3回目は「食の安全・安心」です。生協と言えば、食の安心・安全のイメージですが、食の国際化が進み、流通過程も複雑になる中で、生協が安全性の確保にどう取り組んでいるのでしょうか?