刊行物
生協総研レポートNo.101「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」報告書
〜社会参加とネットワークに関する研究会 2022〜23年度の成果まとめ〜
本レポートは、2022年8月から当研究所の常設研究会として設置された「社会参加とネットワークに関する研究会」の1年半の成果を収めたものである。本研究会は、人々の孤独・孤立が深刻な社会問題となっている今日において、この問題への対応策を検討するために設置した。本研究会のメンバーは以下の通りである。
座長:石田光規(早稲田大学文学学術院 文化構想学部 教授)
委員:荻野亮吾(日本女子大学 人間社会学部 准教授)
委員:菅原育子(西武文理大学 サービス経営学部 准教授:本誌刊行時、
武蔵野大学 ウェルビーイング学部 教授:2024年4月以降)
委員・事務局:中村由香(公益財団法人 生協総合研究所 研究員)
新型コロナウイルス感染拡大によって私たちの生活は大きく変化した。外出自粛や外食の減少、在宅勤務やオンライン会議の増加など、人々が対面でコミュニケーションをする機会は著しく減少した。この変化は、孤独・孤立の問題を顕在化させ、さらには一層深刻化させる契機となった。コロナ禍で孤独・孤立が深刻化したことを受けて、国内では2021年2月に内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」が設置され、2023年5月には「孤独・孤立対策推進法」が成立するなど、政府もその対策に取り組んでいるが問題の解決は容易ではない。
生協総合研究所「社会参加とネットワークに関する研究会」は、このようなコロナ禍での変化を受けて、どのような層で孤立・孤独の問題が深刻なのかを定量的に把握することを目的に発足した。特にコロナ禍で、仕事でもプライベートでもオンラインを用いたコミュニケーションが増えたことを考慮し、「デジタルネイティブ」を含む現役世代を対象として、オンラインによって人とのつながりが保てるのか、オンラインのつながりで孤独感は軽減されるのか、そもそも現役世代は対面で人とコミュニケーションを取りたいと感じているのか、といった点を明らかにしようと考えた。本誌に掲載した「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」は、こういった問題意識のもとに設計されたものである。
現在、全国の生協が、NPOや社協など地域で活動する様々な団体と連携しつつ、孤独・孤立の解決に取り組んでいる。人のつながりの再生が求められる現在、生協が社会に果たす役割は大きい。本研究の成果が、今後の生協の取り組みを考える際の参考となり、ひいては日本社会の孤立・孤独の問題の解決に寄与すれば幸いである。
主な目次
刊行にあたって (中村 由香)
- 第1章
- 「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」の概要 (中村 由香)
- 第2章
- 現役世代の友人・知人関係、家族関係 (石田 光規)
- 第3章
- 現役世代の孤独感 (菅原 育子)
- 第4章
- 現役世代の仕事と人づきあい (中村 由香)
- 第5章
- 現役世代における団体・グループ活動への参加 (荻野 亮吾)
- 第6章
- 現役世代にとって気分転換できる場の持つ意味 (荻野 亮吾)
- 第7章
- 現役世代の人づきあいに対する意識 (石田 光規)
- 第8章
- ソーシャルメディアを介したコミュニケーションの実態と態度 (菅原 育子)
- 第9章
- 「スマホを手放せない」という状況がもたらすもの (石田 光規)
- 資料1
- 「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」調査票
- 資料2
- 「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」単純集計
お申込み・お問合せ
公益財団法人生協総合研究所(茂木、鷲見、中村由香)
TEL:03-5216-6025 E-mail:ccij@jccu.coop