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刊行物情報

生活協同組合研究 2022年5月号 Vol.556

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労働における女性の処遇をめぐる諸課題

 2020年前半に始まった新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大により、人々の働き方を含む日々の生活は大きな変更を余儀なくされた。ただし、その影響の現れ方には濃淡があり、新型コロナ拡大に伴う経済活動の縮小はとりわけ女性が働くことの多い産業に集中し、雇用の面でも男性よりパートやアルバイトで働くことの多い女性の方が大きな影響を受けたことが判明している。また、学校の臨時休校も子育て中の女性の労働時間と収入の減少につながったと報告されている(「2021年版 厚生労働白書」)。

 本特集では、このように新型コロナを契機に改めて明らかになった女性の就業に関わる困難について、やや長期的な視点から経緯を検討し、考察する論稿を集めた。まず大沢論稿では、そもそも日本の生活保障システムは男女の役割が偏る世帯単位の「自助」に依拠しており、コロナ禍のような災厄が発生するとその悪影響は女性に多く現れること、さらにそこで救いとなるべき社会保障は子どもを育てつつ女性が働くことをむしろ阻害するシステムであることが示されている。続いて、萩原論稿は公共部門が不安定な雇用を生み出す問題を指摘している。本稿からは女性に就労を要請する一方で、女性が子どもを持った後も安定的に働き続けることや、社会の将来を担う子どもの適切なケアが可能になるための保育所運営(特に人件費)よりも財政赤字削減を優先する政策の問題点が理解される。さらに日本の民間における雇用(生協を含む)も、安定した身分と生活を支える賃金が期待できるものの、家族をケアする時間が保障されない正規労働者と、家族をケアする時間は保障されるが賃金は低く、非正規労働者という身分の違いがほぼ性別の違いと重なっており、この分断は新型コロナによって一層拡大していること、そして、そのような分断は、男性労働者にとっても処遇改善が進まない事態を引き起こしていることが禿論稿によって明らかにされている。このような現状に対し、日本では管理職の役割が不明確で労働時間が長くなる傾向があることは、ケア負担の多い女性が管理職につく際のハードルとなりえるが、コロナ禍で在宅ワークが増加し、管理職に求められる役割が変化していく中で管理職の労働時間が減少し、女性が管理職となる阻害要因が少なくなる可能性があると金井論稿は指摘する。このことは長時間労働を当然とされる男性管理職にとっても処遇改善につながる可能性がある。

 四方氏のコラムでは年金受給開始年齢の引き上げが高齢女性の就労に与える影響をデータから精査し、受給開始年齢の引き上げは若い年代になるほど継続就業の傾向を強めるものの、希望通り就業できず失業してしまう高年齢女性が見られることから、高年齢者雇用の継続を支援する政策の必要性を指摘している。最後に、大学生協の専務という責任の重い職務を務める丹羽みちの氏に仕事の中での苦労の乗り越え方やそこから学んだことについてお話し頂いた。

 本特集を通じて、性別により強く規定される従来的な雇用の身分や労働のあり方を変えていくことのもたらす恩恵は社会全体に及ぶ可能性について理解が広がることを期待している。

(山崎 由希子)

主な執筆者:大沢真理、萩原久美子、禿あや美、金井 郁、四方理人、丹羽みちの

目次

巻頭言
男女平等法政策の核心をつかない反復(遠藤公嗣)
特集 労働における女性の処遇をめぐる諸課題
ジェンダー化された自助では持続できない(大沢真理)
公共部門の雇用が生み出すジェンダー不平等を考える ─日本の保育政策から─(萩原久美子)
日本における雇用形態のジェンダー不均衡 ─不明瞭な正規・非正規の区分─(禿あや美)
日本の職場における管理職の役割と女性 ─コロナ禍での変化と短時間管理職の可能性─(金井 郁)
コラム1 年金受給開始年齢の引き上げと高年齢女性の就労(四方理人)
コラム2 仕事はいつだって大変です ~大学生協でのキャリアをふりかえって~(丹羽みちの・聞き手:山崎由希子)
国際協同組合運動史(第2回)
国際協同組合同盟第1回ロンドン大会(鈴木 岳)
本誌特集を読んで(2022・3)
(松本和広・菅野昌英)
新刊紹介
アマンダ・リトル著,加藤万里子訳『サステナブル・フード革命』(藤田親継)
研究所日誌
公開研究会 生協運動と産消連携について~労働者福祉運動と有機農業運動のそれぞれの局面から~(5/16)
公開研究会 ケアラー支援を考える(6/7)