生活協同組合研究 2022年2月号 Vol.553
2021年度全国生協組合員意識調査をもとに
2021年度に実施された全国生協組合員意識調査の報告書が2021年11月24日に日本生活協同組合連合会のウェブサイトにて公開された。地域生協組合員の現在のくらしを示す貴重な情報となっているため、是非ご覧いただきたい。本特集ではこの報告書をもとに、①調査結果の要点、②専門家からのコメント、③地域生協の受けとめ、④調査方法の課題、の4点をまとめた内容となっている。調査結果の理解を促進するとともに、全国生協組合員意識調査の今後の発展を目指した特集となっている。
調査結果の要点については、日本生活協同組合連合会の和氣氏に解説いただいた。調査結果の中で注目すべき点についてご紹介いただくとともに、調査に参加した組合員の自由記述についても原稿中に取り上げていただいている。定量的なデータだけではなく、定性的なデータから概観することで、組合員からのくらしの変化や、組合員の生協への期待をより具体的にイメージすることができる内容となっている。
専門家からのコメントについては、産業能率大学の中島教授、日本大学の清水教授にお寄せいただいた。お二方の専門的な視点から、調査結果の中で、より関心を持った部分について中心的にコメントをいただいた。専門家からの示唆は、より深く調査結果を理解していく上で貴重な道標となるだろう。
地域生協の受けとめについては、大阪よどがわ市民生活協同組合の奥村氏・糴川氏、コープデリ生活協同組合連合会の本橋氏・二木氏にお応えいただいた。これらの原稿はインタビューをもとにした原稿であるが、調査に参加した生協の調査結果に対する感想や、今後の全国生協組合員意識調査への期待や要望がまとめられている。 調査方法の課題については、調査の実施業務を受託した弊所から解説させていただいた。調査方法については報告書に簡潔な記述があるものの、具体的な内容について広く公表するような資料は現在までなかった。今回改めて、調査方法について焦点を当てた原稿を作成することで、調査方法の改善点等についてより広い視点から意見が集められることを期待している。
全国生協組合員意識調査は1994年から続く大規模調査である。そのデータは非常に貴重なものであり、生協内外問わず様々な場面で活用されることが期待されるが、本特集がその一助となればと思う。
(宮﨑達郎)
主な執筆者:和氣未奈、中島智人、清水みゆき、宮﨑達郎、中村由香、石川弥生、奥村弘康、糴川直秀、本橋直樹、二木真悟
目次
- 巻頭言
- こんな生協を創っていきたいものだ(當具伸一)
- 特集 2021年度全国生協組合員意識調査をもとに
- 2021年度全国生協組合員意識調査からの示唆(和氣未奈)
- 生協のブランド価値の形成と組合員参加──「2021年度全国生協組合員意識調査」から──(中島智人)
- 2021年度全国生協組合員意識調査報告書を読む──新型コロナウイルス感染拡大と生協──(清水みゆき)
- 全国生協組合員意識調査の調査方法について──調査の価値と課題を整理する──
(宮﨑達郎・中村由香・石川弥生) - 調査参加生協による全国生協組合員意識調査に対する所感と活用状況①
──大阪よどがわ市民生活協同組合の場合──(奥村弘康・糴川直秀) - 調査参加生協による全国生協組合員意識調査に対する所感と活用状況②
──コープデリ生活協同組合連合会の場合──(本橋直樹・二木真悟) - 本誌特集を読んで(2021・12)
- (中本純子・山﨑求博)
- 残しておきたい協同のことば(追補版5)
- シャルル・フーリエ(鈴木 岳)
- 新刊紹介
- 桜井政成『福祉NPO・社会的企業の経済社会学』(三浦一浩)
- 『生活クラブ神奈川創立50周年記念誌 いのちを紡ぐ,つながる。』(鈴木 岳)
- 研究所日誌
- 「生協社会論」受講生募集
- 公開研究会 エネルギーから地域ガバナンスを考える(2.17)
- 公開研究会 生協総研賞 第18回助成事業論文報告会(3.4)