生活協同組合研究 2020年1月号 Vol.528
生協職員が活き活きと働き続け、定着できる職場づくりのために─生協の未来を担う人材の確保と育成─
本誌は、2019年10月5日に開催した第29回全国研究集会の模様を収めたものである。
今回の全国研究集会では、昨今、話題となっている「働き方」をテーマとした。その背景には、全国の多くの生協で人手不足が深刻化しており、これまでの仕事と職場のあり方の見直しが急務となっていることがある。人材確保のためには、長時間労働の削減、各種制度の整備など仕事と家庭を両立できる職場づくりに加え、職員の働く意欲を向上させる取り組みや、生協で働くことに誇りを持てる職場風土づくりを行う等、職員の労働環境や教育制度の改善が求められている。
では、具体的にどのように改善すればよいのだろうか。その答えを求めて、生協総合研究所では、2017年4月に「ワークライフバランス研究会」を立ち上げ、2019年7月までの約2年間で合計14回の研究会を行ってきた。この研究会では、生協職員の中でも、とりわけ宅配・店舗事業の現場で働く正規職員、パート職員、アルバイト職員を対象として、アンケート調査とヒアリング調査を実施してきた。今回の全国研究集会は、これらの調査結果の報告に加え、登壇者に、研究者、地域生協、日本生協連の方々を迎えて相互に討議を行い、学問的知見と実践的知見を融合することで、生協の現場に直接的に役立つ知見を提供することを試みた。
本誌の内容が、生協職員の働き方の質の向上に寄与し、全ての職員が生協で働くことに誇りをもてるような環境整備に役立てば、大変幸いである。
(中村由香)
主な執筆者:平田未緒、中川敦士、梅崎 修、島崎安史、佐藤博樹、石井 亮、島貫智行、小野晶子、近藤麻子、川端宏一
目次
- 巻頭言
- 共助としての生協の役割(中嶋康博)
- 特集 生協職員が活き活きと働き続け、定着できる職場づくりのために―生協の未来を担う人材の確保と育成―
- 開会の挨拶(中嶋康博)
- 多様化する職員とダイバーシティ経営(平田未緒)
- 多様な働き方ができる人財活用の取り組み(中川敦士)
- パート女性社員の活用(梅崎 修)
- 多様な職員を活かす働き方と組織の在り方を考える(島崎安史)
- パネルディスカッション① 討議
- 職場マネジメントの現状と課題(佐藤博樹)
- 「組織の理念共有・共感」への取り組みと「働き方改革」の取り組み(石井 亮)
- 経営理念の浸透と上司のリーダーシップが職員の就業継続意思に与える効果 (島貫智行)
- 理念共有や社会活動は職員の定着を促すか(小野晶子)
- 全国の生協の未来を担う人材の確保・定着・育成に向けた取り組みの全体動向と日本生協連全国生協・人づくり支援センターについて (近藤麻子)
- コープあいちの職場マネジメントの取り組みと課題について(川端宏一)
- パネルディスカッション② 討議
- 閉会の挨拶(和田寿昭)
- 連載 フォーカス くらしと社会の最新事情⑩
- 協同組合の可能性を広げること~「プラットフォーム協同組合」について~(中野 理)
- 連載 協同組合系研究所の逐次刊行物より⑩
- 『協同の発見』(久保ゆりえ)
- 本誌特集を読んで(2019・11)
- (鈴木 穣・梶浦孝弘)
- 生協総研賞 第12回表彰事業・講評
- 研究所日誌
- 公開研究会「人生100年時代の老後資金と資産運用」(3/3・東京)