生活協同組合研究 2019年7月号 Vol.522
外国人とのよりよい共生のために
2018年12月8日の未明、くしくも太平洋戦争の開戦された日に、第197回国会で「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が混乱のなかで成立、2019年4月に施行された。この法律は実質的な「移民法」ともいわれるが、実際にはどうなるのか。単純労働者の受け入れは? 特定技能とは? 受け入れ側の課題とは?
このような問いを含め、外国人とのよりよい共生のために、本特集を組んでみた次第である。旬のテーマでもあり、一段と多用であったと拝察されるなか、快く執筆・取材をお受け下さった5人の方々に、まずは御礼を申し上げる。
明石純一氏からは、日本の移民政策の現況、国際移動の諸影響、移民政策の役割という視点から論点をご提示いただいた。
浅川晃広氏には、在留管理、労働市場上の特性、永住か非永住かの違いによる支援のあり方をお記しいただいている。
山口塁氏は、技能実習制度の活用実態と2つの二重構造と史的変遷、そして今後に必要なことについて提起されている。
石原進氏からは、外国人の支援から共生への流れや、インフラとしての日本語教育、生協への期待も示していただいた。
高多洋氏のインタビューからは、外国人雇用に関わる制度の概要、生協の状況と課題についてお話しいただいている。
コラムではかつての日本人移民、ブラジル移民、日系人が創設し一世を風靡した協同組合を紹介している。
本特集には若干内容に重複もある。ただし、ある意味でそこはポイントと読み取ることも可能であろう。お汲み取りいただければ、幸いである。
(鈴木 岳)
主な執筆者:明石純一、浅川晃広、山口塁、石原進、高多洋、鈴木岳
目次
- 巻頭言
- 成年年齢の引き下げと家庭科(天野晴子)
- 特集 外国人とのよりよい共生のために
- 国境を越える人の移動と移民政策 ─その影響と課題を考える─(明石純一)
- 入管法改正と日本の在留資格,永住権について(浅川晃広)
- 技能実習制度へのニーズの所在とその隘路 ─「2つの二重構造」との関連を手がかりに(山口 塁)
- 政府が目指す「共生社会」とは何か ─その課題と展望─(石原 進)
- 生協における外国人雇用の現状と課題(高多 洋)
- コラム 日本人の移民小史とブラジル・コチア農業協同組合の追憶(鈴木 岳)
- 継承・発信 平和の取り組み①
- 未来につなぐ被爆の記憶体験会(中村良光)
- 連載 フォーカス くらしと社会の最新事情④
- 電力自由化と生協の電気小売の最新事情 ─現在の課題とこれから大切にしていきたい視点(高橋怜一)
- 連載 協同組合系研究所の逐次刊行物より④
- 『共済総研レポート』(久保ゆりえ)
- 本誌特集を読んで(2019・5)
- (齋藤雅通・青木雅生・及川昭夫)
- 研究所日誌
- 公開研究会「ゲノム編集技術の食品への応用」(7/30・東京)
- 公開研究会「吉野共生プロジェクト」(8/20・東京)
- 第29回全国研究集会(10/5)
- 公開研究会「大学生の読書を考える」(10/12・名古屋)
- 生協総研賞第17回助成事業の応募要領(抄)