生活協同組合研究 2018年12月号 Vol.515
経営力のあるスーパーマーケットから学ぶ ~経営結果がすぐれた組織はどこが違うのか~
今月号は久しぶりにスーパーマーケットの特集である。経営力のあるスーパーマーケットチェーンはどこが違うのか、その強みを率直に学び地域生協の店舗経営力の向上につなげていただきたいと考えたのがこの企画である。
日本のスーパーマーケットの経営状況は、各協会に所属する企業すべての合計値で報告されることが多い。全体を合計するとほとんど経営が厳しいとの評価となってしまう。しかし各協会に加入しているチェーンには、事業規模や経営結果にも相当な差があり一律な数値で経営状況を語るのは無理がある。首都圏だけを見てもヤオコーやベルクのように増収増益を重ね大変すぐれた経営をしているチェーンがある。また今月号でも紹介されているが、全国各地にも多数存在する。今回はそのような各チェーンの研究をしている方々に執筆いただいた。
巻頭はインタビュー形式であるが、流通研究の第1人者である法政大学の矢作名誉教授に「基本理念とそれを形に表す戦略」「全員でスーパーマーケットの未来を考える」「自社のミッションを現場の一人ひとりがその精神を理解し進んで自分の働く役割をこなす」と貴重な提言をいただいた。
次の石川論文はハローズ、アクシアルリテイリングの店舗オペレーション革新の具体的な成功事例であり、中見論文はヤオコーとハローデイの持続的成長に関する研究報告である。
そして岸本論文では「アソートメント型」フォーマットについて具体的に紹介している。また山田氏からは長年にわたり地域生協を指導してきた経緯から、率直な問題意識が提起されている。
最後に当研究所の研究員である佐藤より海外の優良チェーンの事例としてアメリカのクローガー、イタリアのエッセルンガ、スペインのメルカドーナが紹介されている。日本ではあまりなじみがないチェーンであろう。
現在、多くの地域生協の店舗事業経営は大変厳しい状況にある。今後の店舗事業の経営改善につなげられるように、店舗事業を行っている地域生協のトップと上級幹部のみなさんに今回の企画が少しでもお役に立てれば幸いである。
(小方 泰)
主な執筆者:矢作敏行、石川友博、中見真也、岸本徹也、山田邦弘、佐藤孝一、小方 泰
目次
- 巻頭言
- 変わる売り方、変わる買い方(天野恵美子)
- 特集 経営力のあるスーパーマーケットから学ぶ~経営結果がすぐれた組織はどこが違うのか~
- スーパーマーケットの経営力とは何か ─持続的な成長力の源泉を問う─(矢作敏行)
- 店舗のオペレーションを革新する(石川友博)
- ヤオコーとハローデイにおける持続的成長の源泉に関する一考察(中見真也)
- 食品スーパー経営の新しい動向から学ぶ(岸本徹也)
- おいしい食卓型SM ─店舗事業充実への視点─(山田邦弘)
- 海外優良チェーンの動向(佐藤孝一)
- コラム 首都圏の主要スーパーマーケットチェーンの経営を概観する ─過去5年間の決算報告等の分析を中心に─(小方 泰)
- 時々再録
- 買い物サポートカー快調に走行中 ─コープおおいた─(白水忠隆)
- 本誌特集を読んで(2018・10)
- (植田 滋・本間照光)
- 研究所日誌
- 第12回生協総研賞「表彰事業」候補作品推薦のお願い
- 公開研究会「人生100年時代のライフプランニング」(2019・2/1・福岡)