生活協同組合研究 2016年3月号 Vol.482
特集 : 東日本大震災から5年
東日本大震災後,本誌でもさまざまな研究と調査を刊行してきた。しかし,この当時と被災後5年を経た現在とを対照すると,復興と課題はどう変化したのか,変化していないのか。この節目に整理が必要と考えた。そこで本号では,あえて過去本誌に原稿を寄せていただいた方々に再度ご執筆を依頼したものである。
過去の本誌における執筆者と論題,刊行年号は次のとおりであった。
- 糸長浩司氏「震災後2年目の飯舘村の状況と,今後の地域再建に向けた課題─飯舘村後方支援の経験と地域計画論からの考察─」(2012年9月号)
- 森傑氏「集団移転の合理性─気仙沼市小泉地区の始動─」(2011年8月号)
- 小山良太氏「原子力災害と協同組合─福島県における協同組合間協同による放射能汚染対策─」(2012年9月号)
- 石原慎士氏・李東勲氏「石巻・気仙沼被災企業の支援」(2012年10月号)
- 金子成子氏「いわて生協からの報告」(2013年1月号)
- 小澤義春氏「みやぎ生協からの報告」(2013年1月号)
- 今野順夫氏「コープふくしまからの報告」(2015年3月号)
- 宮田育治氏「放射能汚染に立ち向かう―怒りを胸に,楽天性を保って,最大限の防御を―」(2011年10月)
今回,以上のすべての方々にご執筆をいただけた。加えて,これまで本誌ではあまり取り上げてこなかった茨城県からの状況について,松尾掌氏(いばらきコープ)にご執筆をいただいている。また,4度目の佐藤俊光氏・高橋源一氏のインタビュー,さらに白水忠隆研究員の時々再録も本特集を意識している。
なお本特集は,執筆の皆さまのご協力を得て,全ての論考を4ページに統一した。多角的に本号をお読み取りいただければと思う。
(鈴木 岳)
主な執筆者:糸長浩司,森 傑,小山良太,石原慎士,李 東勲,金子成子,小澤義春,今野順夫,松尾 掌,宮田育治,佐藤俊光,高橋源一(聞き手:鈴木 岳)
目次
- 巻頭言
- 東日本大震災が遠くなっていませんか(岩田三代)
- 特集 東日本大震災から5年
- 震災後5年目,飯舘村民の生活・コミュニティ再建に向けて─除染の限界と自然共生居住権の再構築─(糸長浩司)
- コミュニティを支える空間─気仙沼市小泉地区のこれまでとこれから─(森 傑)
- 福島県産農産物はなぜ基準値を超えなくなったのか?(小山良太)
- 被災企業の復興状況と異業種連携による商品開発の試み(石原慎士・李 東勲)
- 岩手県の復興状況といわて生協の取組み・今後の課題(金子成子)
- 共生できる協同のある地域をめざして(小澤義春)
- 震災復興に向けたコープふくしまの取組み(今野順夫)
- 福島県への支援と茨城県での災害対応で見えてきた課題について(松尾 掌)
- 核害の街で生きる(宮田育治)
- 志津川事情を語る④(佐藤俊光・高橋源一(聞き手:鈴木 岳))
- 特集② 生協共済研究会報告
- 「共済と保険の違い」テーマに研究(岡田 太)
- 保険募集制度の見直しと生協共済にとっての課題(江澤雅彦)
- 欧州のミューチュアル保険・協同組合保険組織協会(齊藤真悟)
- 時々再録
- 被災地は語り続ける(白水忠隆)
- 海外情報
- 第9回国際サードセクター学会アジア太平洋大会(山崎由希子)
- 研究と調査
- 柳田国男の消費組合論(下)(堀越芳昭)
- 本誌特集を読んで(2016・1)
- (柴田文隆・松本 等)
- 新刊紹介
- 三浦将 著『自分を変える習慣力』(浅野由樹子)
- 岩崎夏海 著『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「イノベーションと企業家精神」を読んだら』
(寺田 真) - 研究所日誌
- 公開研究会のご案内(3/15,3/25)
- 「研究員講座5」のご案内(3/22)
- ロバアト・オウエン協会研究集会(3/30)
- 生協総研賞・助成事業研究論文集
- 「生協社会論」受講生募集
- 『生活協同組合研究』購読者アンケート(4月15日までにご送付下さい)
- 総目次(2016年3月号~2015年4月号)