【新刊のご案内】 『コ・プロダクションの理論と実践―参加型福祉・医療の可能性』
本書は2012年より斉藤弥生教授(大阪大学)がヴィクトール・ペストフ博士(エーシュタ・シェンダール・ブレッケ大学名誉教授)を迎え、医療や介護サービスにおける利用者参加を含めた民主的なサービス提供のありかたを研究する目的で組織された国際協同研究プロジェクトである「協同組合医療介護研究会」の成果をまとめたものです。本研究会には生協総合研究所から研究員が参加した他、当研究所として医療・介護サービスを提供している法人(医療生協を含む)の職員・利用者・ボランティアを対象としたアンケート調査のデータ集計・分析も行いました。
本書では医療や介護サービス供給体としての協同組合が展開する「地域包括ケアシステム」に着目し、専門職と地域住民の協働的な関係や住民によるケアへの参加について、量的調査によるデータと事例研究を通じて考察しています。そして、国際比較の視点から見た日本の医療・介護供給体としての協同組合は、専門職と住民の協働関係やサービスへの住民参加という特色を持ち、本来事業以外の新たな社会的価値を生み出すメカニズムを持つものであると示唆されています。
医療や介護サービスに従事される方や地域福祉に関心をお持ちの方にぜひご一読頂ければ幸いです。
2023年2月発行 A5判・328ページ
定価(本体5,900円+税)
ISBN978-4-87259-766-0 C3036
発行:大阪大学出版会
目次
第Ⅰ部 量的調査からみるコ・プロダクション
第1章 福祉医療ガバナンスと民主主義の再構築(ヴィクトール・ペストフ、訳:斉藤弥生)
第2章 なぜ今,「参加型福祉・医療」なのか(斉藤弥生)
第3章 日本の医療・福祉協同組合—制度の現状と課題(栗本昭)
第4章 北欧諸国からみる日本の協同組合福祉医療(ヨハン・ヴァムスタッド、訳:斉藤弥生)
第5章 調査結果(1)主要概念と調査設計(ヴィクトール・ペストフ、訳・編集:斉藤弥生)
第6章 調査結果(2)労働環境とコ・プロダクション(中村由香、斉藤弥生、ヴィクトール・ペストフ)
第7章 調査結果(3)コ・プロデューサーとしての利用者とボランティア(斉藤弥生)
第Ⅱ部 コ・プロダクションの実践
第8章 農村地域の在宅医療と在宅介護— JA 長野厚生連佐久総合病院の実践(斉藤弥生)
第9章 医療福祉からの「コミュニティ・コ・プロダクション」—名古屋,尼崎,新居浜の実践
(ヨハン・ヴァムスタッド、訳:チェリーアンジェラ未来、監訳:斉藤弥生)
第10章 東日本大震災の被災者支援—みやぎ県南医療生活協同組合の実践(山崎由希子)
第11章 子ども家庭支援—フードバンクしまね「あったか元気便」の実践(佐藤桃子)
付録 「参加型福祉・医療」調査概要
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