2008年度第3回公開研究会報告

連続公開研究会シリーズ「日本の食はいま―冷凍ギョーザ事件から考える」
(第1弾) フードディフェンス、そして中国農業・食品産業

日時:2008年10月3日(金)13:00〜16:30
会場:主婦会館プラザエフ7階「カトレア」
参加者:170名
 

 2008年度第3回公開研究会「フードディフェンス、そして中国農業・食品産業」を開催した。北は岩手から西は長崎までの広域より、生協の組合員・役職員や研究者、マスコミ関係者を含む多様な方面からの参加があった。参加人数は170名であった。

 第1講演では、今村知明教授(奈良県立医科大学)から、冷凍ギョーザ事件の性格が整理され、フードディフェンス(食品防御)の考え方が説明された。今村教授が務められた同事件に関する第三者検証委員会の検証内容、とりわけ残留農薬問題との区別の必要性や、事件から学ぶフードディフェンスの考え方、そしてその具体的なポイントが解説された。

 参加者アンケートへの回答では、フードディフェンスの考え方とその必要性を理解したという声のほか、食品テロのリスクの深刻さを知って驚いたという声が多く見られた。また、テロ対策の費用対効果のバランスをどこでとるか、また費用はどこで負担するかなど、実際面での難しい課題を指摘する声があった。

 第2講演では、中国農業の実地研究を積み重ねている大島一二教授(青島農業大学 協同組合学部)から、中国における農業・農村実態の説明と、輸出向け農業生産の実態の詳細な報告が行われた。2002年の輸出ホウレンソウで発覚した残留農薬問題以来、輸出用農産物を中心に安全性確保の取り組みが進んでいることが説明された。また、近年の法整備に促されて起こりつつある農業での合作社(協同組合)設立の動きも紹介され、日本の生協との提携の可能性が示唆された。

 アンケート回答では、日本での報道では分からない中国の農業問題の背景や農業の実態を理解できたという声が多かった。中国批判よりも、前向きに中国の産地との関係を作っていきたいとの声も寄せられた。中国の農民問題、貧困問題を重く受けとめる声もあった。

 最後に、当研究所専務理事の石川より、今回を含む連続公開研究会シリーズの趣旨が説明され、意見や提案を募った。アンケートに寄せられた意見を見ると、食糧需給や自給率問題に関するものが多数みられた。このテーマはシリーズ第2弾(第4回公開研究会 12月3日開催)で取り上げる。他には、食品供給者(メーカー、小売業、生協)が、実際に行うべき品質管理について掘り下げて欲しいという声も複数人から出された。
 

講演1:

食品防御とは何か〜冷凍ギョーザ事件と今求められる社会システム
そして生協・消費者がなすべきこと〜
今村 知明 (奈良県立医科大学教授)
 

講演2:

中国の農業・食品産業の今日と展望、日本の消費者との今後の関係
〜現地からのレポート〜
大島 一二 (中国 青島農業大学合作社学院教授)
 

討 論: 全体を通しての参加者の意見交換

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