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助成事業

公益財団法人生協総合研究所・アジア生協協力基金
2012年度助成事業成果報告会開催概要

 2013年4月18日、アジア生協協力基金 運営委員会(委員長:庄司興吉 全国大学生協連理事長)は、2012年度の一般公募による助成活動の報告会を、東京・四ツ谷のプラザエフ5階第1会議室にて開催しました。

 報告会では、助成対象となった7団体が、アジア各国において実施した縫製などの技能教育、人材育成、女性の起業や地位向上支援、保健衛生支援など、多彩な活動を報告しました。2012年度の一般公募による助成額は、総額400万円となっています。

報告組織・活動内容
① 特定非営利活動法人APLA (東チモール)

 2010年から東チモールの二つのコーヒー生産者グループに対して、コーヒーだけに頼らない地域づくりを目指し魚養殖、養豚、土づくり、女性グループ活動、4人に対する1年間の国内留学技術研修などを実施する一方で、アジア基金の助成金による*現地指導者への協同組合についてのレクチャー、*自立的協同組合づくりのセミナー、*関係省庁の協力要請訪問などを実施してきました。今後は、農民の動機付けを維持しながら協同の実態づくりが課題となります。

② NGO Tech Japan (スリランカ)

 2011年のスリランカでのワークショップの経験に基づき、2012年は6~8月にかけて予算に沿った構想をまとめ、印刷見積もり、ライターとの協議などを行った。その後、10月まで執筆開始、女性起業家へのインタビュー、女性銀行への貸付事例の調査などを実施した。その後、何回かの校正を経て、3月に、3カ国語での本の完成を見た。社会的訓練がなく、専門知識も得られなかった女性たちが、この本を通して自立のチャンスを得られるものと確信している。

③ 特定非営利活動法人オアシス (カンボジア)

 カンボジア・アンコールクラウ村での2年目となる給食事業と支援者養成活動は、15回の給食に延べ人数で2,080人の子供たちが食事をしました。支援者の高校生に加えて、新たに中学生が参加してきています。また、野菜栽培に加えて、換金までに至らなかったものの遊休池を利用した鯰の養殖が開始されました。村全体で貧困から抜け出すための起業までにはいたらず、協同組合化が遅れていますが、リーダーは出てきており、引き続き努力していきたい。

④ 公益財団法人PHD協会 (ネパール)

 第30期研修生は、ネパールから2名、インドネシアから1名の研修生が5月に来日し、3月13日に帰国しました。これまでどおり、農業や保健など研修生のそれぞれのニーズに沿った研修が行われましたが、今回は、新たにプロジェクト・サイクル・マネージメントを取り入れ、帰国後の協同組合づくりに具体性をもたせることができました。また、フォローアップ事業は、8月にポカラ村とピンタリ村で、協同組合についてのレクチャーを行い、村のお母さんたち70名が参加しました。

⑤ 特定非営利活動法人・地球の友と歩む会(LIFE) (インド)

 インド・タミルナンドゥ州の女性自助努力グループに対して縫製技能の研修を年2回行い、40名が受講しました。この内、3名がマイクロクレジットを利用してミシンを買い、自宅で服のパーツを縫い、現金収入を得ることができました。現地NGOが新しい事業も開拓したため、あらたに工業用ミシンを使用した上級研修も開始しました。農業生産の脆弱さを克服し、また、女性の働く場を確保するうえで、大きな成果をあげてきています。

⑥ 特定非営利活動法人Seed to Table~ひと・しぜん・くらしつながる~ (ベトナム)

 ベトナムベンチェ省での野菜生産者グループの組織化は、6月開始と遅れましたが、3村の総計で54名が組織されました。有機作物は9月~10月の長雨で大きな被害を受けましたが、17回の例会、21回の技術研修、2回の経験交流などを通して、一定の成果を上げることができました。アンケート調査では、堆肥不足、水源の問題などがあるものの全体で約158万円の販売額となり、生産コストの削減、メンバー間の協力などの成果も確認されました。近隣農村からの希望者も増加しています。

⑦ 神戸医療生活協同組合 (モンゴル)

 今回も3回の現地訪問による現地の自立に向けた実践的な技術移転研修が行われました。今年トピックスは、地元テレビ局向けの子ども虫歯予防番組が制作・放映されたこと、乳幼児の寝かせ磨き及の絵本やDVDが作成されたこと、そして、幼稚園の先生を対象としたセミナーが3年目を迎え、31から申し込みがありましたが。準備の都合で23園での実施となりました。現地歯科協同組合エネレル歯科看護師・サラントヤさんのほぼ1カ月の日本での歯科衛生士科体験入学も実現でき、モンゴルで研修方法の改善にもなっています。

 すべての組織で、計画された課題を遂行しており、現地での生活の改善につながる前進があったことが確認されました。報告会の後に、初めて開催された懇親会では、7組織より、それぞれの国の実情や国民性、プロジェクト執行にかかわる課題など、報告書には現れない内容が報告され、今回の実施事業の持つ意味を深めることができました。