生協社会論
2023年度第13回講義概要「ダイバーシティ推進の視点から生協と社会を考える」
○開催日時 2023年7月19日(水)15:00~16:30
○開催会場 大東文化大学 板橋キャンパス
講師とテーマ
平野 路子(日本生活協同組合連合会 政策企画室 室長)
「ダイバーシティ推進の視点から生協と社会を考える」
概要
講師の平野さん
第13回講義の講師は、日本生活協同組合連合会(日本生協連)の平野さんです。社会が今求めているダイバーシティ&インクルージョンとジェンダー平等についての解説の後、日本社会全体の状況、国政上の重点課題、地域生協の到達点と課題、無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)などについて講義をしていただきました。
受講生の受けとめ
Q 生活協同組合(団体)のどのようなところに興味や関心を持ちましたか、または持てませんでしたか?
Aさん
生協は理事会の女性比率20%をルール化して、ジェンダー平等に向けて取り組んできたというところ。
Bさん
無意識の思い込みに気づく組織づくりへの挑戦に興味を持った。
Cさん
生協内でも一部で男女比などにおいて課題が多く残っている為、特に定着率などの面についてだれでも働きやすい環境を整えるべく様々な施策を取り入れているという点。
Q この講義のポイントは、どこにあったと思いますか?
Dさん
男女の働き方や新たな生活様式が変化しているところがポイントだと思いました。職業観や家庭観が大きく変化していることから、令和モデルへと価値観が変わってきていると思いました。今までは男女で分かれていて女性は家庭というイメージが大きくありましたが、今では国が主体となって、全ての人が家庭でも仕事でも役割を果たし、活躍できる社会づくりを目指している活動は良いなと思いました。先進国の中でも日本はジェンダー平等に対して最下位なので、ジェンダーギャップをなくすための政策を行う必要があると思いました。
Eさん
男女共同参画白書の構成のうち、若い世代のための社会(すなわち令和モデル)への転換をめざしている点がポイントではないかと思いました。この令和モデルを実現するために、これまでの固定的な性別役割分業を見直すことで、世代によって男性と女性ともに当たり前であると思うような価値観が異なることがよく分かり、興味深かったです。しかし、これらを見直していくと、日本社会はだんだんと良くない方向に進んでいることがよく分かりました。こうした今の日本の状況は世界的に見るとより良くない面が目立っているようでした。特に男女での賃金格差や女性の活躍(管理職)の少なさが深刻であると思いました。こうした男女の問題はだいぶ前から問題とされてきていると思います。早くこれらの課題を解決するために、D&I・ジェンダー平等の視点からはもちろん、様々な視点から改めて見直し、考え直すことが重要だと思いました。
Fさん
仕事に関する考え方や働き方について、世代によって価値観が全く異なることを理解すべきであるということがポイントであると思う。若い世代の方が年齢層が高い人々より「平等」といった働き方に反応を示し、女性の育児問題や社会進出増加・見直しといった社会の情勢や変化に影響を受けているということも重要であると思う。また家事・育児について、若い男性の方が家事・育児参加に関しては抵抗を感じておらず、職場環境改善の必要性を重視しているという男女の価値観の変化がみられる。そうした変化は1世代30年かかるといわれているが、そのスピードを上げるために何ができるか考えるべきである。
Q この講義や生活協同組合(団体)に対する意見・感想を書いてください。
Gさん
自分が生まれた世代や20代の頃の社会背景によって価値観が大きく異なることがよく分かりました。私自身、価値観の違いを経験し、悩んだこともありましたし、グラフからきちんと読み取ることができて面白いと思いましたし、昭和モデルの考え方を一刻も早く令和モデルへ移行する必要性があると思いました。その時代を生きる人々の考え方に社会の体制がついてきていない部分があり、男女格差などが広がって、生きづらい社会になってしまうと思いました。潜在的な部分で考えていることが社会にあらわれていて、その意識を変えるために制度化をしていることに驚きましたし、人の考え方を変えるのは難しいのだと思いました。日本の男女格差の深刻さを改めて認識し、早く改善したいと思いましたし、自分にも何かできることはないか考えたいと思いました。最も重要なことは、無意識のバイアスだと思うので、そういったことはしないようにしたいと思いました。
Hさん
「世代によって育ってきた社会、経済情勢が大きく異なり、これが働き方や意識、価値観の違いを生んでいる」というのはあまり考えたことがなかったのですが、とても納得しました。共働きが増えているという話はよく聞きますが、データ上でも専業主婦を希望する人、期待する人が明らかに減っているのがよくわかりました。無意識の思いこみいついての話がありましたが、これはジェンダー以外の部分でも多く存在すると思うし、自分も気をつけていきたいと感じました。
Iさん
D&Iについて、ダイバーシティという意味は知っていましたが、インクルージョンは初めて聞きました。お話を聞いて、多様性を「認める」のは表面的にすぎず、「受け入れる」からこそ多様性という価値が発揮されることに納得しました。話し合いにおいても、他人の意見はまず受け止めて自分の考えを伝えることで、より良い話し合いができるため、「受け入れる」ことは何においても重要であると感じました。
若い世代の男性が「家事・育児」に対して率先して行うべきだと考えている割合が大きいことに、ジェンダー平等について訴える声が目に見えるようになってきたのが影響していると感じました。しかし、一人暮らしを経験しているかいないかでも変わってくると思いました。家事を全てやってもらうことに慣れている人が、家事に対して積極的になるのかなと思ってしまいます。