刊行物

生活協同組合研究 2026年7月号 Vol.606

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●いま求められる学生支援と大学生協の関わり

 大学の主要な構成員は学生と教員であるが,それだけでは成立しない。大学における教育・研究生活を支えるためには多様な業務と組織が必要であり,毎年入れ替わる学生の大学生活を支えるのが「学生支援」である。学生支援は,修学支援,就職支援,経済的支援,生活支援,課外活動支援,障害学生支援,留学生支援など多岐に渡り,そのほとんどは大学当局によって担われるが,いくつかの領域では大学生協が,店舗,食堂,共済や学生委員会の活動等を通じて役割を発揮している。18歳人口の減少やデジタル化など,大学と学生を取り巻く環境の急速な変化に対応し,学生が充実した学生生活を送るために求められる「学生支援」のあり方とそれに貢献する大学生協の役割を考える素材を提供したく今回の特集を企画した。

 今回の特集では,日本学生支援機構,大学学長,大学保健管理センターのカウンセラー,大学生協関係者など学生支援に関わる様々な立場の方々に論じていただいた。佐藤論稿では,1958年の文部省「学徒厚生審議会答申」から紐解かれ,「学生支援」の目的等について解説,日本学生支援機構の学生支援の取組み,そして多様化が進む学生への支援の課題まで論じていただいた。岡田論稿では,ご自身の大学生協との関わり,京都橘学園生協の歴史やコロナ禍を含む環境変化や厳しい現状と課題,そして大学生協への期待についても述べていただいた。中島論稿では,大学をめぐる少子化やデジタル化等の急激な変化は大学自体そして大学生協にも構造変革を迫るものであることを詳しく言及され,その構造変革の方向性,2030年までに実現したい姿を20のゴールに具体化した「大学生協2030Goals」について解説いただいた。堀田論稿では,大学の保健管理センターのカウンセラーの立場から,急速に多様化した学生の実態とそれらへの対応する多様な学生支援と近年のウェルネス志向の支援についても紹介いただいた。豊島コラムでは,栄養士育成に携わる教員の立場から「関わり合える場」としての大学食堂,学生と共に大学を支えていく仕組みとして大学生協を設立した取組みについて紹介いただいた。木塚コラムでは,ユーコープが取り組む「学生応援パス」の取り組みについて,大学生協との連携内容,課題,今後の方向性を中心に紹介していただいた。佐藤コラムでは,大学生協の学生委員会が学生支援の入口の役割を果たしていること,学生自身が生協の運営を通じて成長し,自らの学生生活を主体的に改善できる場であることを述べられた。

 本特集が,急速に変化する大学と多様化する学生にとって大きな役割を果たし不可欠な存在となるために,大学生協はどうあるべきか,地域生協や協同組合関係者がどう関わったらよいのかを議論するきっかけとなれば幸いである。 

(柳下 剛)

主な執筆者:佐藤稔晃,岡田知弘,中島達弥,堀田 亮,豊島琴恵,木塚智司,佐藤佳樹

目次

巻頭言
読書という孤独な営為の価値(米山高生)
特集 いま求められる学生支援と大学生協の関わり
大学等における学生支援の充実に向けて──日本学生支援機構学生生活支援事業の実施を通じて──(佐藤稔晃)
京都橘大学の学生支援をめぐる環境変化と学園生協への期待(岡田知弘)
不可逆の時代における大学生協の再設計──2030Goalsと事業・運動・主体の再構築──(中島達弥)
多様化する学生への多様化する支援──自殺防止対策からウェルネスまで──(堀田 亮)
コラム1 関わり合える大学を目指して──学生支援としての大学生協の可能性──(豊島琴恵)
コラム2 ユーコープの学生応援パスの取り組み(木塚智司)
コラム3 学生委員会が担う学生支援の「入口」──自分たちの手で自分たちの大学生活をよりよくする組織──(佐藤佳樹)
本誌特集を読んで(2026・5)
(蓬莱谷修久)
研究所日誌
公開研究会(来場・オンライン配信併用)「アジア生協協力基金活動報告会」(9/1)
第35回全国研究集会(2026年11月12日)開催予告
生協総研賞「第24回助成事業」の応募要領(抄)