刊行物
生活協同組合研究 2023年12月号 Vol.575
新型コロナ禍以後の葬祭事情と生協
本誌での葬祭をめぐる特集としては、2013年7月号「人生の終焉、いま葬祭をめぐって」、2019年2月号「葬祭の変容とライフエンディング」につづくものとなる。
すぐれた研究および実践を積み重ねてこられた5氏からの懇切なご協力を賜ったこと、まずはここに感謝を申し上げる。
新型コロナ禍を踏まえた個々の内容については、読者各位にお読みいただくとして、背景となる基本的な日本国内の人口動態の状況を、「厚生労働省」や『年次統計』の統計、「国立社会保障・人口問題研究所」(中位推計)などの数値をもとに、以下、若干触れておきたい。
- 総人口数の頂点は2010年(平成22年)の1億2803万人であった。以降は緩やかに減少が続き、2022年10月時点で1億2494万人。1億人を割るのは2056年の見込み。
- 2022年の死亡数が156万人と前年比13万人増(一方で、出生数は77万人で前年比4万人減)、戦後最高を更新した(ただし、過去の日本で一番死亡数の多い年は、第二次世界大戦末期に多くの人が犠牲となった1945年で214万人、またそれ以前ではいわゆる「スペイン風邪」が猛威を振るった1918年の149万人も目につく)。
推計では、2040年の死亡者数が166万人と頂上に達し、それ以降は漸減する見込み。 - 2022年における人口1000人に対しての死亡率は日本全国で12.9。これを都道府県別にみると、高いほうは、秋田県18.6、高知県17.1、青森県16.8。以下、岩手、山形、島根、和歌山の各県が16台である。低いのは沖縄県と東京都が10.4。次いで神奈川、滋賀、愛知、埼玉、千葉県が11台となっている。
7月に厚生労働省が発表した簡易生命表によれば、昨年2022年の平均寿命は、女性が87.09年、男性が81.05年。前年の2021年と比べ女0.49年、男0.42年下回った。2020年では女87.71年、男81.56年だったから、2年連続の縮小となる。感染症下の影響が大きいとされる。が、果たして一過性なのか、今後の動向も気になるところである。
(鈴木 岳)
主な執筆者:田中大介、武田 至、藤原高宏、小谷みどり、藤山 孝
目次
- ●巻頭言
- リスペクトと崖っぷちの相互扶助(米山高生)
- ●特集 新型コロナ禍以後の葬祭事情と生協
- 葬儀をめぐる変化と動向の諸相(田中大介)
- 昨今の国内外の火葬事情(武田 至)
- いわて生活協同組合の葬祭事業──セリオの展開──(藤原高宏)
- 葬送とお墓のゆくえ(小谷みどり)
- 兵庫県高齢者生活協同組合の実践──終活と共同墓を中心に──(藤山 孝)
- ●研究と調査
- コープ共済のライフプランニング活動の原点──1990年代の保障の見直しムーブメント──(渡部博文)
- ●国際協同組合運動史(第21回)
- 国際協同組合同盟(ICA)1934年第14回ロンドン大会(鈴木 岳)
- ●本誌特集を読んで(2023・10)
- (久保ゆりえ・志波早苗)
- ●研究所日誌
- ●公開研究会「英国とフランスの協同組合の要人より」(12/20)
- ●公開研究会「改定議論から考える協同組合のアイデンティティ」(2/1)
- ●兵藤釗先生を偲んで
- (武田晴人)