刊行物

生活協同組合研究 2023年3月号 Vol.566

消費者団体訴訟制度の充実・強化を求めて

 消費者裁判手続特例法は2013年12月に成立し、2016年10月に施行された。同法の附則第5条は、施行後3年を経過した場合の見直しを規定していたことから、消費者庁は法改正に向けた検討会を設置し2021年10月に報告書を取りまとめ、第208回国会に改正法案を提出、同国会で可決・成立した。

 山本和彦氏には、消費者裁判手続特例法の見直しの経緯・内容について紹介いただくとともに、同法の意義について再確認いただいた。

 大屋雄裕氏には、情報社会における今日的な「消費者」問題、さらには未来の問題について解説いただきつつ、消費者団体および消費者裁判手続特例法への期待も示していただいた。

 消費者団体訴訟制度のうち被害回復に係る訴訟については1つを、差止請求に係る訴訟については2つを、この特集では紹介している。前者は消費者機構日本が東京医科大学を提訴したケースで、鈴木敦士氏に概要を紹介いただいた。後者は、消費者被害防止ネットワーク東海がファビウス株式会社を提訴したケースと消費者支援機構関西がフォーシーズ株式会社を提訴したケースで、それぞれ伊藤陽児氏と増田尚氏に概要を紹介いただいた。いずれの訴訟についても、判決がもつ意味や影響について解説いただいている。

 野崎和夫氏には2022年11月25日にインタビューをお受けいただき、消費者市民ネットとうほく設立の経緯と活動状況、生協による参加の意義などについて見解を述べていただいた。

 河野康子氏には、適格消費者団体への支援のあり方に関して現在の立ち位置を確認することで将来への展望へとつながる一助とすべく、消費者スマイル基金の設立の経緯と活動実績を紹介いただいた。

 消費者裁判手続特例法については生協も法案成立に向けた取り組みを他の消費者団体とともに展開してきた経緯があり、今回の法改正を機に、改めて消費者団体訴訟制度の意義や現状を確認し、同制度のさらなる充実・強化を期待したい。

(中村 良光)

主な執筆者:山本和彦、大屋雄裕、鈴木敦士、伊藤陽児、増田 尚、野崎和夫、河野康子

目次

巻頭言
市民社会のアドボカシーとしての消費者団体訴訟(佐藤岩夫)
特集 消費者団体訴訟制度の充実・強化を求めて
消費者裁判手続特例法の見直しとその意義の再確認(山本和彦)
消費者問題の現在と未来(大屋雄裕)
集合訴訟制度の今後の発展をどう考えるか(鈴木敦士)
健康食品の定期購入にかかる差止請求訴訟事案の報告と課題(伊藤陽児)
家賃債務委託契約の不当条項の使用差止めを認容した最高裁判決(増田 尚)
消費者市民ネットとうほく設立の経緯と現在の活動(野崎和夫)
適格消費者団体への支援─「認定NPO法人消費者スマイル基金」のこれまでとこれから─(河野康子)
研究と調査
福井県民生協におけるダイバーシティ推進の現状と課題(小林 文〈聞き手:平野路子・中村由香〉)
国際協同組合運動史(第12回)
国際協同組合同盟(ICA)第9回グラスゴー大会(鈴木 岳)
本誌特集を読んで(2023・1)
(高田公喜・前田昌宏)
研究所日誌
公開研究会(オンライン)ビジネスと人権~市民社会は今何を求めているのか(3/16)
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生協総研賞第14回「表彰事業」実施要領(抄)
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