公益財団法人生協総合研究所 第33回全国研究集会
地域からつむぐ協同組合のアイデンティティと明日
- ●開催日時:
- 2024年11月30日(土)13:00~17:30
- ●開催形態:
- 来場・オンライン配信併用
- ●会 場:
- コモレ四谷タワーコンファレンス内会議室
- ●参 加 者:
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161名(来場44名、オンライン117名)
※オンデマンド配信視聴申込は120名 総計281名
プログラムと報告者(敬称略)
- 開会挨拶
- 中嶋康博(東京大学大学院 農学生命科学研究科教授/公益財団法人 生協総合研究所 理事長)
- 趣旨説明 解題
- 鈴木 岳(生協総合研究所 研究員)
- 講演1「協同組合原則の変遷とアイデンティティ声明改定議論の状況~ロッチデールから今日の協同組合まで」
- 杉本貴志(日本協同組合学会会長、関西大学教授)
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講演2「足元から出発して社会的生態系を編む拠点としての協同組合等社会的連帯経済
~一番大変なところに駆けつけているか(SDGs)を振り返りつつ」 - 田中夏子(日本協同組合学会元会長、長野県高齢者生活協同組合副理事長)
- 実践報告1
- OCoNoMiおおさか 中村夏美
- 実践報告2
- 生活協同組合コープぎふ 松原 滋
- 実践報告3
- 消費者信用生活協同組合 船ヶ澤堅一
- 実践報告4
- 労働者協同組合かりまた共働組合 國仲義隆
- パネルディスカッション
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パネリスト 杉本貴志/田中夏子/中村夏美/松原 滋/船ヶ澤堅一/國仲義隆
進 行 三浦一浩
- 閉会挨拶
- 和田寿昭(生協総合研究所 専務理事)
概要
来年は、国際連合によって定められた「国際協同組合年」(IYC2025)となる。協同組合にとって2012年以来の2回目となる国際年に向けて、全国実行委員会を立ち上げ、各種活動の検討が開始され、全国や都道府県レベルで協同組合の仲間が手を携えて様々な活動がおこなわれる。
国際的には、国際協同組合同盟(ICA)でも、1995年に定められた協同組合のアイデンティティに関する声明を、より今日の世界に合わせた形に改定しようという議論がなされつつある。このような協同組合原則の改定議論も踏まえつつ、全国の協同組合・生協がIYC2025をどのように迎えるかについて、協同組合の価値を再確認し、これを高めつつ、組合員・役職員がともに考え合うことを広げるきっかけとするため、本研究集会は企画された。
開会挨拶、要旨解題に続いて、前半は協同組合の指導的理論家で新旧の日本協同組合学会会長でもあるお2人から、それぞれ講演をいただいた。杉本氏は「職員を大事にするというより労働を尊重するということが協同組合にはもとめられているのではないか それには原点をもう一度思い起こすということ」という問題意識から、ロッチデール公正先駆者組合以来の英国と日本の歴史のポイントが紹介された。田中氏は、「つながることで暮らしと地域が豊かになれば」という認識から、中心的に携わる高齢者生協の運営、さらにはイタリアの社会的協同組合を題材として、これらを通じた共益からコミュニティの一般的利益について展開、人々が社会的に排除されないための仕組みを提起した。
後半では、4組織からそれぞれ実践報告がなされた。中村氏からは2020年に設立された「大阪府協同組合・非営利協同セクター連絡協議会(おこのみ大阪)」の活動を紹介した。松原氏からは、人口減少先進都市の飛騨市とコープぎふとが連携する事業「地域複合サロン」の買い物と地域を支援する活動が紹介された。船ヶ瀬氏は、青森県と岩手県でくらしやおかねの相談と貸付事業をおこなう「消費者信用生活協同組合」(1969年に岩手県盛岡市で設立)の伴走的な取り組みを紹介した。國仲氏からは、沖縄県宮古市狩俣地区で2022年に施行された労働者協同組合法を活用して地域づくりをおこなう「かりまた共働組合」の活動が紹介された。
多くの質疑応答がなされたのち、閉会挨拶をもって終了した。