公益財団法人生協総合研究所 第32回全国研究集会
世界的な食料危機の中で、持続可能で健康的な食のあり方と生協の役割を考える
- ●開催日時:
- 2023年10月28日(土)13:00~17:45
- ●開催形態:
- 来場・オンライン配信併用
- ●会 場:
- コモレ四谷タワーコンファレンス内会議室
- ●参 加 者:
- 150人
プログラムと報告者(敬称略)
開会挨拶・解題
中嶋康博(東京大学大学院 農学生命科学研究科教授/公益財団法人 生協総合研究所 理事長)
講演1「私たちの食生活と人・地球の健康」
飯山みゆき(国際農林水産業研究センター 情報プログラム プログラムディレクター)
講演2「食料・農業・農村基本法の見直しに向けて」
杉中淳(農林水産省 大臣官房総括審議官)
講演3「未来向けた『食』と『農』~これからの課題と可能性~」
下川哲(早稲田大学政治経済学術院 准教授)
パネルディスカッション「持続可能で健康的な食のあり方と生協の役割」
飯山みゆき/杉中淳/下川哲/河野康子((一財)日本消費者協会 理事)
閉会挨拶
藤田親継(公益財団法人 生協総合研究所 専務理事)
概要
生協総合研究所は、2023年10月28日(土)、「世界的な食料危機の中で、持続可能で健康的な食のあり方と生協の役割を考える」をテーマに第32回全国研究集会を開催しました。今回の全国研究集会は、食料価格高騰によって生協組合員を含む人々のくらしが厳しさを増し、食品不足の不安が高まり、食料安全保障をめぐる議論も活発に行われる状況に鑑み、参加者一人お一人に、「すべての人が持続可能で健康的な食生活を享受できる社会のしくみづくり」に向けて日本の生協が採るべき道について、持続可能性や公平性、健康などの観点から考えていただくことを目的に開催したものです。参加者総数は150人(会場参加41人、オンライン参加109人)でした。
プログラムではまず、生協総合研究所・中嶋理事長の開会挨拶・解題に続き、3人の講師が講演を行いました。
飯山みゆき氏(国際農林水産業研究センター 情報プログラム プログラムディレクター)は「私たちの食生活と人・地球の健康」と題して講演を行い、20世紀以降の食料システムの展開をふり返る中で今日の食生活が地球環境に及ぼす影響に思いを致すよう呼びかけ、健康な地球と100億人の世界人口のための食生活パラダイムシフトの必要性について説明されました。
杉中淳氏(農林水産省 大臣官房総括審議官)は「食料・農業・農村基本法の見直しに向けて」と題して講演を行いました。食料・農業・農村基本法制定後の情勢変化により生じている「世界の食料生産・供給の不安定化と我が国の経済的地位の低下による輸入リスク」「食品アクセス」「国内市場の縮小」「農業者の減少」などの諸問題について解説するとともに、「国民一人一人の食料安全保障」「農産物輸出の役割」「スマート農業の導入推進」「持続可能な農業・食品産業」など食料・農業・農村基本法の見直しに向けた考え方を示されました。
下川哲氏(早稲田大学政治経済学術院 准教授)は「未来向けた『食』と『農』~これからの課題と可能性~」と題して講演を行い、持続可能な「食」と「農」(食生活を変えることと生産技術を革新することの2つの方向性)に向けて注目すべき動向(健康な土壌への注目、肉食への逆風、食品ロスの削減)などをとり上げ、食にかかわる「人間らしさ」も考慮に入れた対策や生協への期待を示されました。
最後のプログラムでは、飯山氏・杉中氏・下川氏に河野康子氏(日本消費者協会 理事)を加えた4人のパネリストが、生協総合研究所・藤田親継専務理事の進行のもと、誰もが持続可能で健康的な食生活を享受できるという大きな目標に向けて、「グローバルな情勢を念頭においたときに日本における食料生産・食料消費はどうあるべきか」「国内の情勢を念頭に置いたときに日本における食料生産・食料消費はどうあるべきか。また生協・生協組合員がやるべきこと、できることは何か」について意見交換を行いました。