第28回全国研究集会が開催されました
第28回全国研究集会は、「生協の新たなミッションを提言する―『第2次2050研究会』からの構想」と題し、明治大学リバティタワー1012教室で開催され、227名の参加を頂きました。
今回の全国研究集会では「第2次2050研究会」(以下、2050研究会)から2050年の地域生協のミッション・ビジョンの提言と「集いの館」具体化に向けた実践事例の報告を行い、パネルディスカッションを通じて議論を深めました。
2050研究会の座長を務めた若林靖永教授からは、「第2次2050研究会からの提言」と題して、①「集いの館」構想はどのようなものだったか、②前回提言に対する疑問への回答、③地域ワークショップで明らかになったこと、④「新たな地域生協のミッション・ビジョン」の提言という内容で講演いただきました。
報告では、玉置了准教授が、「ミッション・ビジョンの比較研究から見えてくるもの」と題して、地域生協と流通・小売業のミッション・ビジョンを比較分析した結果を報告しました。生協は、目標に組合員の「声・願い・安全」などを掲げているが、流通業では顧客の「満足・ゆたかさ・健康」などが掲げられており、生協の場合はゴールが明確な言葉で示されていないものが多い。職員や経営に関連する言葉についても比較し、それらがメッセージとしてどのように受け止められるか解説しました。また、生協総研の鈴木岳研究員は、「協同組合論の観点から2050年の地域社会と生協を考える」と題して報告しました。
実践報告では、辻正一氏がパルシステムでの「集いの館」構想具体化、海老澤文代氏が滋賀県高島市朽木での地域の居場所づくりについて報告しました。
パネルディスカッションは、若林靖永教授を座長に、日向祥子准教授、辻正一氏、福西啓次氏、石原淳子氏という構成で行いました。
第1部では「具体的実践から見えてきたこと」というテーマで、「地域の中にあるニーズや課題で見えてきたことは何か」「“集いの館”を持続可能なものにしていくには何か必要か、またそれを支える主体は誰か」「地域でのつながりを育てていく上で大事にしたいことは何か」などについて意見交換を行いました。
第2部は「2050年の地域生協のミッション・ビジョンを考える」というテーマで討論しました。冒頭、日向准教授から「地域生協にとっての『ミッション』とは」と題して、生協組合員は出資・利用・運営参加の3つの性格を併せ持っているが、ミッション・ビジョンで「組合員の満足を追求する」と掲げている意味は何か、その場合の組合員はどのような立場なのか、新しい地域社会における「つながり」と「責任」をどのように考えるか、などの問題意識を報告しました。討論では「ミッション・ビジョンを作るプロセスが大事」「“集いの館”は生協だけではできない、地域の様々な連携が重要」などが明らかになりました。
第28回全国研究集会の報告は『生活協同組合研究』2019年1月号に掲載されます。合わせてご覧下さい。
主なプログラム
開会挨拶
生源寺 眞一(生協総合研究所理事長、福島大学教授)
講 演 「第2次2050研究会からの提言」
若林靖永(京都大学経営管理大学院教授)
報告① 「ミッション・ビジョンの比較研究から見えてくるもの―地域生協と流通・小売業の比較研究―」
玉置 了(近畿大学経営学部准教授)
報告②「協同組合論の観点から2050年の地域社会と生協を考える」
鈴木 岳(生協総合研究所)
実践報告① 「共同研究プロジェクト 『集いの館』モデル計画について」
辻 正一(パルシステム東京専務理事)
実践報告② 「誰もが集まれる地域の居場所『寄り合い処くっつき』」
海老澤文代(朽木住民福祉協議会代表)
パネルディスカッション
討論テーマ
- 具体的実践から見えてきたこと
- 2050年の地域生協のミッション・ビジョンを考える
- 【座 長】
- 若林靖永(京都大学経営管理大学院教授)
- 【パネリスト】
- 辻 正一(パルシステム東京専務理事)
- 福西啓次(ならコープ常務理事)
- 石原淳子(生協しまね副理事長)
- 日向祥子(明治大学准教授)
閉会挨拶
小方 泰(生協総合研究所専務理事)