第27回全国研究集会が開催されました
第27回全国研究集会は、「地域における生協共済の役割とは何か -コミュニティづくりとささえあい・たすけあい-」と題し、明治大学リバティタワー1011教室で開催され、208名の参加を頂きました。
今回の全国研究集会は講演、実践報告、パネルディスカッションで構成しました。
講演では、慶應義塾大学の駒村康平教授から「『地域で築く互助の仕組み』-共済の役割と出番」と題して、日本の社会保障制度が大きな課題に直面している中で、地域で住民主体による様々な互助の組織・仕組みづくりが広がっていること、生協の共済にも互助取り組みが期待されていることが話されました。早稲田大学の江澤雅彦教授からは、世帯が多様化している中で一人一人に対応した生活保障設計の情報提供やアドバイスをしていくことが求められていること、保険と違って共済は契約者どうしのつながりを大切にしていること、それを広げていくことが重要であることを話されました。
実践報告では、全労済が、「だれでも気軽に保障相談できる店舗」を地域に作り、子育てをしているお母さんの支援や保障を次の世代につなげる活動などを報告しました。コープ共済連からは、地域でのささえあいや健康づくりを支援していくことを目的とした「地域ささえあい助成」と2017年度からスタートした「健康づくり支援企画」の紹介がありました。大学生協共済連は、加入者の健康と安全な生活を支えるために、「加入・給付・予防・報告」の4つの活動のバランスを取って進めていくことを紹介した後、特に各大学で共済に加入している学生たちが事故防止や健康を守る活動を進めていることを報告しました。
パネルディスカッションでは、日本大学の岡田太准教授を座長に「地域社会のくらしをめぐる課題と共済の関わり」「共済への期待と課題」を討論テーマとして設定しました。登壇したパネリストからの問題意識の報告や意見交換を行うとともに、岡田座長から研究集会の参加者(聴講者)に「共済は積極的に地域に関わっていると思うか」「共済の地域社会づくりは、現在の社会貢献活動で十分だと思うか」などの質問を行い、参加者がどのように考えているかを回答していただきました。地域生協の参加者から子育て支援や中高年層の学びの場づくりなどの取り組みを共済も関わって進めているという活動の報告をしていただいたり、研究者の方から共済が生協の福祉事業や医療生協とも連携していくことを期待するという発言をいただいたり、参加者全体で一緒にテーマを考えていくことができたのではないかと考えます。
研究集会の報告は,『生活協同組合研究』2017年12月号に掲載されます。合わせてご覧下さい。
主なプログラム
開会挨拶
生源寺 眞一(生協総合研究所理事長、名古屋大学大学院教授)
講演① 「地域社会の再生と互助の役割」
駒村 康平(慶應義塾大学経済学部 教授)
講演② 「生協共済を『地域』の観点から考える」
江澤 雅彦(早稲田大学商学学術院 教授)
実践報告 ① 「みんなが安心できる明日・未来にむけた共済ショップの取り組み」
木村 沙織(全国労働者共済生活協同組合連合会)
実践報告 ② 「コープ共済連の地域ささえあい助成と健康づくり支援企画について」
玉永 香織(日本コープ共済生活協同組合連合会)
実践報告③ 「大学生協における共済加入者同士のたすけあいと予防活動」
石塚勇稀(全国大学生協共済生活協同組合連合会)
パネルディスカッション
討論テーマ
- 地域社会のくらしをめぐる課題と共済の関わり
- 共済への期待と課題
- 【座 長】
- 岡田 太(日本大学 准教授)
- 【パネリスト】
- 駒村 康平(慶應義塾大学 教授)
- 江澤 雅彦(早稲田大学 教授)
- 酒井 健(全労済)
- 前田 かおり(コープ共済連)
- 小塚 和行(生協総合研究所)
パネリスト報告①「みんなでたすけあい、豊かで安心できる社会づくり」
酒井 健(全国労働者共済生活協同組合連合会)
パネリスト報告②「共済も生協も、みんなのくらしの『あたりまえ』に」
前田 かおり(日本コープ共済生活協同組合連合会)
パネリスト報告③「地域でのくらしと生協共済への期待」
小塚 和行(生協総合研究所)
閉会挨拶
小方 泰(生協総合研究所専務理事)