研究活動

海外報告
第7回世界社会的連帯経済フォーラム(GSEF)ボルドー大会参加報告【鈴木 岳】

GSEF会場

■海外出張の目的

第7回GSEFボルドー大会参加

■日程・訪問地

2025年10月29日~31日 フランス・ボルドー

報告

ボルドー空港の特設案内所

 トルコ航空でイスタンブール経由、ボルドー空港の出口を抜けると、屋内にGSEF(ジェセフ、Global Social Economy Forum)の特設案内所と担当の方が待っていた。空港からトラム(新型路面電車)A線でボルドー中心街まで40分強、乗り換えてトラムC線で20分少々で終点のパルク・デ・エクスポジシオンに到着、至近に会場(パレ2アトランティック)がある。路上やトラム駅での広告には本大会の開催を祝うポスターが、いやおうなしに目につく。これほど街中で目立つ広報はGSEF大会では初めて、ボルドー市の大会への力の入れ方がうかがえる。

別途、無料で入れる別会場が中心街に併設されており、この建物では、社会的連帯経済(ESS)に関する状況や歴史を含む展示や、ESS形態のさまざまな生産者たちからの地場産品の即売会が夕方から開催され、活況を呈していた。

 会期中、10月29~31日の3日間に、主会場の3000席以上がある大ホール(手話つき)での総合集会数が13、分科会会場は大小12室で1時間単位の集会数が延べ169であった。各セッションでは、座長と話者4~5人がいる。各部屋には、過去のESSに関連する偉人の名称がついており、いかにも歴史を重んじるフランスらしい(例えば、シャルル・ジードやカール・ポランニー、ジョルジュ・サンドなど)。公用語はフランス語が中心+英語で、スペイン語は実態として分科会では準公用語の扱いだった。

 このうち、日本からの報告は、いずれも「社会的連帯経済を推進する会」に関係する以下3氏の報告のみ、採用されたようだ(前セネガル大会の報告者は5人+日本在学中の留学生の1人<前回セネガルで報告した人。今回も報告の登録はあったが欠席だった>)。

分科会での報告の様子(久保氏)

・松田舞「京都のシングルマザー住宅の試み」

・久保隆光「国分寺の社会的連帯経済」

・野々山理恵子「パルシステムの産直」

 多様な各報告においてはパワーポイントのない口頭のみ、かつ早口のフランス語が主流ななか、日本勢のそれぞれの報告は、丁寧に作られた資料を提示しており、好感が持てた。やはりフランスからの報告が多いが、他のフランス語圏、アフリカ諸国からの参加も目を引く。一方で、ロシアや中国は当然のこととして、北欧やドイツなどからの参加は殆どなかったようである。GSEFといえば創立国の韓国だが、今回の参加者数は日本なみに少なくみえた。

 さて今回、ボルドーでGSEF大会が開催された背景には、ボルドー市長かつフランスESS の会長ブノワ・アモン氏の熱意と、自治体における環境系の社会民主主義系の議員に力が強いこと、多様なESSの実践例がこのアキテーヌ地域圏に醸成されていることなどが主因といえよう。

 最終日の夕方、大会では3つの宣言と内容説明の長文が、朗々と読み上げられた。以下、略述すると、

 ・本大会宣言の冒頭「ボルドーで開催されたGSEFに出席する109カ国、907都市を代表する10,800人の参加者は、ESSが社会変革プロジェクトを具現化すると宣言する。……ESSは、2021年から2024年にかけて、国際的に大きく認知された。国連をはじめとする国際機関は、持続可能な開発目標(SDGs, ODD)を地域レベルに適応させる上でのESSの役割を全面的に認めた。……数十年間にわたる新自由主義政策によって基盤が揺るがされた国家の危機に直面し、われわれは、包摂的な経済開発と働きがいのある人間らしい雇用の促進を目指したキト宣言(国連人間居住会議、2016年)に基づき、自治体とESSの連携を強化せねばならない。

 ・恒久平和の宣言――平和、包摂、そしてレジリエンスの促進におけるESSの変革的役割

 ・社会的連帯経済のための国際青年宣言・最終アピール:世界中で、若者たちはすでに、地域と世界の交差点において、経済が生命、正義、そして公益に役立つよう、具体的な解決策を構築している。われわれは、政府、機関、地域社会、そして社会的経済の担い手に対し、若者を変革の力として、協同と連帯を優先し、現代の主要な社会、経済、環境課題に取り組むことができる存在として、十分に認識するよう呼びかける。ESSがODD*を達成するための手段であるならば、若者こそこの原動力となるべきだ。共に、共通の価値観と地域の多様性の豊かさが出会う地域間の架け橋となり、共通の未来を築こうではないか。

 *フランス語の略語ODD(Objectif de Développement Durable)はSDGsのこと。これらに絡めた多数の青年が参画したこの宣言が本大会で特徴的であった。

 なお、次回第8回大会については、2027年にブラジル・リオデジャネイロ州の都市マリカーでの開催が、閉会前に確認された。