海外報告
第4回世界社会的経済フォーラム参加報告【鈴木 岳】


●ビルバオのトラム

海外出張の目的

第4回世界社会的経済フォーラム(GSEF)参加

日 程・訪問地

2018年10月1日~3日 スペイン・ビルバオ

報 告

第4回世界社会的経済フォーラム(GSEF)

 先の10月1日から3日にかけて、世界社会的経済フォーラム(GSEF, GlobalSocial Economy Forum)がスペインの人口35万の都市・ビルバオ市内の巨大会議センターEuskalduna Conference Centreで開催された。会場へはトラム(路面電車、Euskotran)のエウスカルドゥナ停車場(駅)が隣接している。今回の全体タイトルは「社会的経済と都市 包摂的かつ持続可能な地域発展のための価値と競争力」である。前回2016年のカナダ・モントリオールでの開催よりはるかに規模の一層大きなフォーラムとなり、主催者側によれば、84ヵ国からの参加者が1700人にのぼったという。

 初日午前中の「自治体代表者たちの挨拶」では各国の参加自治体の代表が紹介された。韓国とスペイン、フランスからが多く、あとはカナダ(ケベック)が複数、加えてアフリカ(ウガンダ、カーボベルデ)、中南米(ペルー)、フィンランド、台湾からの自治体代表が登壇した。
 会場がバスクという社会的経済の先進地域のせいか、イノベーション、競争を追求しつつ人間的な社会的経済(ES)を強調する議論と、中南米型といおうか、草の根の社会的連帯経済(ESS)の実践例を提起する報告が並立している。

 言語が多元的なのは個人的には好ましく、英語ばかりではなくスペイン語、フランス語なども随時混ざる。ただ同時通訳は極めて大変な様子であった。全体会や一部の個別会ではハングルや日本語でも通訳がなされたが、理解が難しいところも相当にあった。
 個別報告ではご当地であるモンドラゴン協同組合複合体関係の報告も複数示された。

 2日目にはEU、ILOの代表とともにアルゼンチン出身のアリエル・グアルコ現ICA(国際協同組合同盟)会長が登壇した。彼はスペイン語圏であり、ICAなども言語面でより多元的な状況になるのか注目される。

 日本からの参加は「GSEFビルバオ大会・日本実行委員会」(事務局:ソウル宣言の会)が主催されたツアーの44人を中心に、個別の参加が10人ほどであった。また、フォーラムにおける日本からの報告としては、滋賀の社会福祉法人のみが採択され、2日目に短時間のビデオ報告がなされている。

 最終日の昼過ぎに、2年前のモントリオール宣言を基礎とした7項目の「ビルバオ宣言」が提示され、次回の開催を2020年メキシコ・シティと決定、フォーラムは終了した。

詳細は後日『生活協同組合研究』に掲載予定です。ご期待下さい。