海外報告
ウェールズ協同組合センター視察と第6回EMES参加報告【山崎 由希子】

趣旨・目的

  1. ①ウェールズ協同組合センター視察
  2. ②第6回EMES(社会的企業に関する国際学会)での報告と参加

日 程・訪問地

2017年6月28日~7月8日
 イギリス・カーディフ、ベルギー・ルーヴァン=ラ=ヌーヴ

報 告

 2017年6月末から7月にかけて、ウェールズ協同組合センター視察と、第6回EMES(社会的企業に関する国際学会)出席のため、カーディフ(英国)とルーヴァン=ラ=ヌーヴ(ベルギー)を訪問しました。学会での報告や参加したセッションの内容については『生活協同組合研究』の原稿に譲り、ここではカーディフ滞在中に訪問した生協のお店を紹介したいと思います。

 このたびのカーディフ訪問は、生協総研の佐藤孝一研究員が2013年に英国コープの総会に参加した際、知り合いになったデイヴィッド・スミス氏(英国コープ元理事)に声をかけられて実現したもので、以下に紹介する店舗もスミス氏に案内を頂きました。

コウブリッジ・ロード・イースト通りの生協店舗


●コウブリッジ・ロード・イースト通りにある
生協店舗入り口の様子

 カーディフの中心部から北西方向に車で10分ほどのカントン地区、コウブリッジ・ロード・イースト(Cowbridge Road East)通り沿いにある生協店舗は3年ほど前に改装し、商品棚の間の通路スペースを広げ、扱う商品も食料品や日常用品中心に絞り込んだのだそうです。

 こちらの店舗は1フロアで、それほど大きな店舗ではありませんが、販売する商品を絞り込んだとはいえ、食料品や酒類はもちろん、洗濯機や乾燥機(!)といった大型の電化製品も売られていました。営業時間は月曜日から土曜日までが朝7時から夜10時、日曜日が朝10時から夕方4時とのことです。

25ポンド(約3,632円、1ポンド145.3円換算)以上買い物をすると、自宅までの配達が無料に(左写真)。オンラインでの注文商品をピックアップするロッカーもあり、日曜日にピックアップする人が多いそうです(右写真)。

ウアイングロン通りにある生協の店舗


●ウアイングロン通りにある生協店舗の入り口の様子

 コウブリッジ・ロード・イースト通りにある生協の店舗から、西方向に車でさらに5分ほど走ったところにあるウアイングロン(Waungron)通り沿いにある生協の店舗は、オープンしてまだ1年経たない新しいお店です。黒い外壁にブルーのコープマークという現代的な外観で、店舗の広さはコウブリッジ・ロード・イースト通りの店の3分の1ほどしかないようでした(日本の一般的なコンビニよりやや広いくらいの印象)。小さなお店の棚にはコープ商品がぎっしり詰め込まれていました。営業時間は朝7時から夜の11時(定休日なし)となっており、まさに日本のコンビニと同じような利用のされ方をしているのかもしれません。

 こちらの店舗は英語とウェールズ語のバイリンガルでのサービスを売りにしているそうです。ウェールズ語は英語と共にウェールズ地方の公用語とされていますが、実際にウェールズ語を使用しているのは人口の19%にあたる50万人ほどとのこと。また、地域によってウェールズ語を使用する人の多い地域とそうでない地域があり、こちらの店舗の周辺はウェールズ語を使う人が多いようです。

 現在こちらの店で働くスタッフは総勢38名ほどで、ほとんどがパートタイム勤務とのことですが、店長を始めとして、この店に来る前に英国コープの別の店舗で働いていた人も数人いるそうです。

詳しい報告は『生活協同組合研究』に掲載予定です。ご期待ください!

棚いっぱいのコープ商品(こちらは惣菜コーナー)。酒類もコープ商品が多い。食肉とコープ商品の惣菜に使用されている肉類は全て英国産とのこと。英国コープはフェアトレードにも力を入れており、多くのコープ商品にフェアトレード・マーク[四角の中に緑とブルーのデザインの入っている]が付いている。