海外報告
アルメリアの小売と生協 店舗視察報告【鈴木 岳】
●アルメリア駅前
(左のバス停にCONSUMの広告が見える)
海外出張の目的
アルメリアの小売および生協店舗視察
日程・訪問地
2016年5月下旬スペイン・アルメリア
報告
スペイン・アルメリアの生協と小売事情
2016年5月下旬、アンダルシア州の地中海に面する都市アルメリアで開催されたICA協同組合研究会議(この状況報告については、拙小稿『生活協同組合研究』2016年11月号を参照)の合間をぬって、市内中心部の小売事情と生協店舗を見学した。あくまで歩ける範囲内に過ぎないが、見たものを紹介したい。
● 市場の肉屋・真剣な眼差しで
肉を選ぶ人々
人口19万のアルメリア市内、その目抜き通りには、スペインのスーパーマーケット(スペールメルカード)でシェア2割強と首位を独走するメルカドーナがあり、離れた2、3番手のディアやフランス系のカルフール・プチもある。郊外にはカルフールやアルディ、リドルというディスカウントスーパーが控えている。さらに個人的なスーパー、小店舗、イスラミックなスーパーもある。そして何より主に午前に素材中心の生鮮3品を供給する欧州流の屋内市場(1階は肉青果で地下は魚介、そしてディア)が街の中心にある。市場では大きなヤリイカやモンゴイカが9ユーロ前後、イワシやアジがキロ4~6ユーロ程度、生食用のマグロ(種類不明)がキロ18~22ユーロくらい。また、小さなコブのつく品種もあるサクランボはキロ4.5~9ユーロというところ。これらは通常のスーパーではなかなか買いづらいため市場へ行く価値はある様子、中高年の女性が多く(特に生ハムを含む多様多種な肉類販売の店は人だかりも)目につくのは、食にまだまだこだわりのあるスペインならではか。
● コンスム店舗の入り口
さて生協としては、アルメリア駅(鉄道・バス)から10分ほど歩いた海側にコンスムがある。コンスムは坂上にもある(コンスムについては、例えば皆地恵美「スペイン第2の生協コンスムを視察して」『生活協同組合研究』2014年6月号を参照)。中規模の食品中心の駐車場を広くとった明るい店舗である。営業時間は9:00~21:30で日曜は休みである。
● エロスキ・シティの店舗
かつて10%を超える市場シェアを有したエロスキ生協系としては、小規模なエロスキ・シティが中心部にある。細い道を面して建物の地下に立地しており、やや薄暗く、たまたまかもしれないが店内の活気に乏しい感じがした(スペインの生協の近況は、佐藤孝一「欧州6ヵ国生協の経営概況」『生活協同組合研究』2016年8月号を参照)。どちらの生協も、いわゆるコープ商品は多くないように見えた。
なお街にはかろうじてシエスタ文化が残っているようで、大型店やスーパー、そしてバールなどを除くと、小売店は一度長めの昼休みを取り、20~21時に閉店する店も目につく。そしてそれらの閉店と相前後して、本格的に外食店が稼働し始める。
ICAアルメリア協同組合研究会議の概要は『生活協同組合研究』11月号に掲載しております。