海外報告
第5回EMES(ヨーロッパ社会的企業研究ネットワーク)国際会議と調査報告【山崎由希子】
趣旨・目的
(1)Sグループならびに同業他社の店舗視察
(2)第5回EMES(ヨーロッパ社会的企業研究ネットワーク)
国際会議出席
日 程・訪問地
2015年6月29日~7月3日 ヘルシンキ(フィンランド)
報 告
(1) Sグループと同業他社の店舗視察(6月29日~30日)
●Sマーケットの外観
ヘルシンキ市内中央部のSグループの店舗(Sマーケット3カ所、SOKOS2カ所、Alepa2カ所)と同業他社(Kマーケット2カ所、Stockmann1カ所、R- Kioski3カ所)の店舗をめぐった。SマーケットとKマーケットは日本で言うスーパーで、食料品や生活用品の小売りを行っている。店舗を見た限りでは両者の違いは感じられず、商品の価格や品揃え、ターゲット層もほぼ同じようである。SOKOSは化粧品などを扱っており、ヘルシンキ中央駅前の店舗はMarks & Spencer と一つのビルを縦半分ずつ分け合っているが、内部でフロアはつながっており、こちらもその違いをあまり感じない。一方、Stockmannはヘルシンキの中でもっとも高級デパートという趣で、ブランド化粧品や衣類等などを中心的に扱っている。1階の一部と地下階に食料品売り場があり、1階では持ち帰り総菜(サラダ、サンドイッチ等)を主に扱い、地下ではチーズ専門スペースやベーカリーがあり、その他通常のスーパーと同じように野菜や肉などを売っている。Alepaは都市中心部にある小規模のスーパー(食料品中心)で、Sマーケットより開店時間が長い(店舗にもよるが朝の6~7時から夜の23~24時まで)。Alepaも看板や店内を見ただけでは生協グループの一員とは分からない。
●R-Kioskの外観
R-Kiosikiは日本でいうコンビニエンス・ストアである。街のあちこちにあり、切手も扱っていたりと確かに便利であった。日本同様、同じ商品でもスーパーと比べると価格がやや割高である(チョコバー1本で1.3?ほど。スーパーなら1?しない)。興味深かったのはペットボトルに入った飲み物を買うと、レシートに容器のデポジット代が商品代とは別に明示されること。これは買う人のリサイクル意識を高めるのに有効な方法ではないかと思った。
(2) 第5回EMES会議(社会的企業学会)参加(6月30日~7月3日)
第5回社会的企業学会は「Building a Scientific Field to Foster the Social Enterprise Eco-System(社会的企業のエコ・システムを促進する科学的な研究分野を構築する)」をテーマとして開催された。オープニングの全体セッションでは、社会的企業が重要視されるようになった社会・経済的状況と、EMES会議の拡大の歴史について話があった。会議テーマからも理解されるように、教育や福祉など、社会的企業の活躍の場は広がり続けており、研究者も社会的企業を観察(研究)するだけでなく、その成長に資する必要があるのではないかという問いかけがされていた。また、別の全体セッションでは現在実施されている社会的企業に関する60カ国ほどの比較調査について紹介があり、興味深かった。ポイントとしては、各国の社会的企業を分類することが目的ではなく、全体として見たときにどの国の社会的企業はどのような傾向が強いか、といった理解を目指すとのことであった。
詳しい報告は『生活協同組合研究』に掲載予定です。ご期待ください!