海外報告
2015年ICA研究会議参加報告【鈴木 岳】
● 労働者協同組合の経営によるレストラン「さくらんぼの実る頃」(パリ13区)
海外出張の目的
2015年ICA研究会議参加、及び各種協同組合視察
日 程・訪問地
2015年5月下旬 パリ
報 告
ICAパリ会議 2015年5月27~30日
会場 : アグロ・テク大学(パリ5区)
参加者:公表で150人、30ヵ国
挨拶、基調報告
儀礼的な挨拶もあったが、ノルウェー生協の環境部からは、CSRや倫理的消費や動物愛護、食品ロスの削減の取り組みの事例報告が興味深かった。
次回2016年10月のカナダでの協同組合サミット開催案内が丁寧に紹介された。
原則委員会の報告
バンセル氏の概要報告がなされたが、日本講演での内容と重複もあり改めて整理したい。最も印象に残ったのはセッションに同席されていたロジャー・スピア氏の発言で、英国コーペラティブ・グループやモンドラゴン・ファゴールの問題を念頭に置くべきという発言は他とは異彩を放っていた。
個別になされた報告より
● チーズ直販農業協同組合(パリ6区)
- フランスの小売商の協同組織(例えば、ルクレールやシステムU)についての報告は、興味深い一方でその分類手法については改めて考えたい。
- フランスとスペインの協同組合の労協比較研究で、スペインではフランスに比べて協同組合をビジネス形態としての手段と考えがちな傾向があり、経営者としての立場から協同組合に関心を持つ傾向があるのに対して、フランスでは伝統的に理念を重んじ、労働組合の人が関心を持つ傾向がある、というものがあった。フランス人とスペイン人の女性研究者の共同報告。
- 1990年代のヴァーネックの3段階モデルに則って、協同組合の変化形態を説明する報告があった(創業・構築→目的→組織)。
あれこれ
● アグロ・テク会場入口
- 建物は重厚。入口の荷物検査は必ずある。トイレは男女共用の独特なもの。全体報告のの講堂が1階に、個別グループ報告は2階の4つの教室で。建てつけが悪くドアが閉まらない部屋もあり、設備がよいとはいえない。日本の高校のような40人教室のイメージ。昼食はカナッペ類主体の立食。
このICA研究会議参加についての報告は『生活協同組合研究』8月号に掲載予定です。ご期待下さい!