海外報告
フィンランド視察(こーぷ福祉会企画)報告①~SOK【鈴木 岳】
海外出張の課題と目的
高齢者施設や保育施設など、フィンランドの福祉関連施設の訪問調査、およびフィンランド最大の流通グループであるSOK(フィンランド生協連)の視察
日 程・訪問地
2014年5月24日~30日 フィンランド・ヘルシンキおよびエスポー
報 告(SOK視察)
5月末、みやぎ生協のフィンランド視察に同行させていただいた。各種の福祉施設の見学は大変示唆に富むものであったが、その際、ヘルシンキ市内のSOK本部でも1時間半ほどの説明を受けた。
SOKは1915年創立、現在210万人の組合員、4.1万の職員、国内で1609店舗、サンクト・ペテルブルグ(ロシア)とバルト三国に37店舗を擁し、国内のマーケットシェア45.6%を占める巨大生協グループである。
核の小売部門、店舗は大規模順に、Prisma,S-market,Sale, Alepa。「レインボー」マークのコープブランドは商品全体の10%を占めるそうである。その他にガソリンスタンド経営を行うエネルギー部門、セブン銀行のような手法ととるS-Bankの金融部門、旅行部門(ホテル経営を含む)、ホスピタリティ(お墓など)とSOKの事業は計5部門にわたっている。
組合員の出資金はそれぞれの地域によって異なるが、50ユーロないし100ユーロ。欧州では員外利用も問題ないが、ここもご多分に漏れない。ただ組合員になると、メンバーズカードで購買ポイントが付与され、さまざまな利点がある。
現在の職員平均は35歳、執行陣はトップを除き40歳代が中心。この指導層の若さは1980年代前半に倒産の危機があったときに思い切った若返りを図り、それが奏功した手法の自信から来ている様子である。今年は1,000人以上の新規雇用を見込んでいる。
ただ、2000年代もずっと右肩上がりに成長してきたが、この2年は急速に業績を落としている。その理由としては、フィンランド経済の低迷に加え、競争の激化、ネット時代の価格比較競争などがあるとの由。また、サンクト・ペテルブルグ(ロシア)やバルト三国の出店は、ロジスティックな拠点づくりの意味が強いという。
私見では、SOKのコープブランド商品は、安値指向であってオリジン(国産)指向ではない。青い白鳥のマークの付くフィンランド産を指向するならば、コープブランドは範疇に入らない様子である。
なお、スーパーのお店の入り口には、たいていスロットマシンが置かれているのもフィンランド流である。店舗の営業時間は、一例では、平日7時~22時、日曜祭日は10時~22時。
60万都市ヘルシンキでは、生協のSマーケットなどの各種店舗と、もう一方のフィンランドの小売業の雄である「Kマーケット」が犬も歩けば街中にあるが、かの驚異的な安売りチェーンのドイツ系「リドル」もじわじわ進出している。消費者もそれぞれを使い分けているようであった。
このSOK視察についての詳しい報告は『生活協同組合研究』8月号に掲載予定です。
また次回はフィンランド福祉についての報告を掲載予定です。ご期待ください!