研究活動

常設研究会 ― 社会参加とネットワークに関する研究会 第16回報告 ―

○ 開催日時
2024年7月31日(水)15:00~17:30
○ 開催会場
日本女子大学
○ 参 加 者
4名(委員3名、事務局1名)

テーマ・概要

 第16回研究会では、第15回研究会から継続して、2024年3月に刊行した『生協総研レポート』No.101の内容をもとに単行本を刊行すべく、出版社に提出する企画書の内容について検討した。特に、近年、孤立・孤独に関する単行本が多く出版されている中で、本研究会で刊行する書籍のオリジナリティがどこなのか、議論を行った。詳細については下記の通りである。

【議論の内容】

 本研究会では、これまで、現役世代の孤立・孤独の実態をアンケート調査によって把握し、その内容を『生協総研レポート』にまとめてきた。孤立・孤独の実態に迫るアンケートは、近年、数多く実施されるようになったが、それらの調査の多くが対象者の年齢を幅広く設定することで、社会全体の動向を捉えようとしているのに対し、本研究会では現役世代に限定して研究を進めてきた。現役世代に限定した理由は、市場での労働と、育児・家事・介護などの家庭内労働の両立が必要とされる年代に特有の課題を析出したいと考えたためである。とりわけ近年では、寿命の延伸、共働きの増加、晩婚化・未婚化といった社会構造の変化により、現役世代が仕事、育児、家事、介護、地域活動など、一人で何役も担わなければならなくなった。そういった社会の変化をふまえて、現役世代の人づきあいの様相を捉えようと考えた。

 このように本研究会のオリジナリティは、現役世代に限定して調査・研究を進めてきた点にある。現役世代は、若者や高齢層に比べて、基本的に問題の少ない世代と認識され、政策課題になることは少ない。しかし、現役世代においても孤立・孤独の問題は深刻であり、さらには、現在は問題がなくとも将来的なリスクが高い層も存在する。単行本として刊行する際には、既存調査・既存書籍と差別化するため、現役世代特有の問題を整理し、その問題解決のための処方箋も提示する方針である。

 今回の研究会にて、出版企画書の内容がほぼ固まったため、8月中に出版社(勁草書房)に提出する。その後は、担当編集者との打ち合わせを重ねつつ、各自で原稿執筆を進めていく。