研究活動
常設研究会 ― 生協共済研究会(第19期) 第3回報告 ―
- ○ 開催日時
- 2024年12月9日(月) 15:00~17:30
- ○ 開催会場
- プラザエフ5階 会議室(オンライン併用)
- ○ 参 加 者
- 34名 (委員12名、オブザーバー15名、事務局・講師7名)
テーマ
- 研究報告「低所得世帯の生命保険・共済加入行動に関する考察」
報告者:崔 桓碩氏(八戸学院大学 地域経営学部 准教授) - 研究報告「生協組合員における保険/共済への加入動向に関する考察」
報告者:西尾 由(公益財団法人 生協総合研究所 研究員)
概要
1. 研究報告「低所得世帯の生命保険・共済加入行動に関する考察」
八戸学院大学 地域経営学部 准教授の崔桓碩委員より、大塚忠義委員、岡田太委員、谷口豊氏との共同研究である「低所得世帯の生命保険・共済加入行動に関する考察」について報告した。先行研究について十全なる検討を加えた研究であることが詳しく説明された。
報告の概略として、低所得で生活リスクに脆弱な世帯が生命保険・共済に加入する/しない行動様式を明らかにすることを目的とした調査の結果、「低所得世帯の生命保険・共済加入が低いのは営業職員と接触して加入勧奨される機会が少ないため」と考察される旨が報告された。
質疑応答においては、低所得者の範囲を世帯収入300万円未満と定義しているが、そうすると生活保護世帯も含まれるので、それが含まれない150万円または200万円以上と定義したほうが調査結果の解像度が上がるのではないかとの見解が示された。
2.研究報告「生協組合員における保険/共済への加入動向に関する考察」
生協総合研究所の西尾研究員より「生協組合員における保険/共済への加入動向に関する考察」をテーマに報告した。特に年代別の分析により生協の組合員はとても合理的な思考をして保険・共済への加入を選択していることが示された。例えばコープ共済の加入率は50~60代が最も高くなっているが、それはコープ共済《たすけあい》の掛金が65歳まで一律であり50代の掛金が最も割安となっていることを反映していると考察される旨が説明された。
質疑応答において、50代60代の人が「掛金が安い」ことを理由に加入しているのは逆選択となっているのではないか、逆に若い世代にとっては掛金が割高になっているとの懸念が表された。その質問に対し、50代以上については掛金が他社比で割安なことを理由として健康な人も多く加入していることによって成り立っている面があるのではないか、また全年齢一律掛金で割高となる若い世代向けには割安となる定期生命共済や終身共済が推進されている旨を報告者より回答した。