研究活動
常設研究会 ― 生協共済研究会(第19期) 第2回報告 ―
- ○ 開催日時
- 2024年9月2日(月)15:00~17:30
- ○ 開催会場
- プラザエフ5階 会議室(オンライン併用)
- ○ 参 加 者
- 40名(委員14名、オブザーバー18名、事務局・講師8名)
テーマ
- 研究報告「自動運転の社会受容性と補償制度の在り方」
報告者:中林 真理子氏(明治大学 商学部 教授) - 研究報告「被害者救済の観点からみた自動運転の展望と課題」
報告者: 榎木 貴之氏(弁護士)
概要
1. 研究報告「自動運転の社会受容性と補償制度の在り方」
明治大学 商学部 教授の中林真理子委員より「自動運転の社会受容性と補償制度の在り方」をテーマに、自動運転をめぐる現状と課題、自動運転社会の進展と補償制度の整備状況、ELSI(倫理・法・社会的課題)の観点から自動運転を取り巻く課題について概括的に報告された。特に自らが携わった共同研究プロジェクトにおける検討内容として、自動運転社会の実現にむけて機械の犯すミスを人間、社会が受け入れることができるのか、そのうえで自動運転が社会に受容されていくために保険・補償制度がいかに貢献できるか等に関する考察や検討過程について、詳しく情報共有された。
質疑応答においては、「自動運転に関する補償制度は自賠責保険のような共通制度であるべきか、任意保険のように各社マターであるべきか」という質問に対して、「共通制度が必要になるのではないか」との見解が示された。また自動運転社会の実現する時期の見通しに関する質問に対しては、「個人の所有する自動車における自動運転社会の実現はかなり先の未来になるのではないか」との見解が示された。
2.研究報告「被害者救済の観点からみた自動運転の展望と課題」
弁護士の榎木貴之氏より「被害者救済の観点からみた自動運転の展望と課題」をテーマに、英国における自動運転に関する法律の整備状況を概観したうえで、日本の現状と課題、今後に向けた示唆について報告がされた。
英国の自動運転に関する法律は被害者に対する第一次支払責任を保険者とし、保険者には求償権を認め、ファーストパーティの損害担保、過失相殺規定などを法定していると説明した。日本については、今後に向けた課題およびそれへの提言として、物損被害者に対する補償、ファーストパーティ被害者の補償、製造物責任追及、保険会社の役割、過失相殺の論点整理、原因究明・立証手段としてデータ整備等について言及した。
質疑応答において、自動運転と従来の自動車保険を別枠で考えるべきかとの質問に対して、「レベル3のように人の運転と自動運転が混在するケースの整理が難しい」旨の見解が示された。