研究活動

常設研究会 ― 生協共済研究会(第17期) 第4回報告 ―

○ 開催日時
2023年2月27日(月)15:00~17:30
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室(オンライン併用)
○ 参 加 者
41名(委員9名、オブザーバー22名、事務局10名)
テーマ
  1. 研究報告「『健康経営と保険業』~生命保険会社による健康経営サービスの提供~」
    恩藏三穂委員
  2. 共済団体報告「CO・OP共済 健康づくり支援企画」
    コープ共済連 組合員参加推進部 組合員参加・社会貢献活動グループ マネージャー 塩原浩明氏
概要

<研究会の主な内容>

1.研究報告「健康経営と保険業」~⽣命保険会社による健康経営サービスの提供~ 恩藏三穂委員

 恩藏委員より「健康経営と保険業」をテーマに健康経営に関する最近の学説動向や⽣命保険会社による健康経営に関する取り組み状況について研究報告を受けた。

 恩蔵委員のまとめによれば「健康経営(Health and Productive Management)」の定義は「企業・組織の従業員の健康と生産性の両方を同時に追求する経営手法」であり、効果として「1.個人の心身の健康状態の改善による生産性の向上、2.組織の活性化、3.企業価値の向上」が期待される。健康経営は1970年代の米国において医療費の抑制のために従業員の健康増進に注目されたことを端緒として、1992年にロバート・ローゼンが著書『ヘルシー・カンパニー』で概念化。日本でも少子高齢化にともなう社会保障費の増大や従業員の高齢化、労働人口減少を背景に、特に政府・自治体や公的保険者、企業に注目を集めるようになっている。

 民間企業の取り組みとしては「健康経営優良法人認定制度(ホワイト500)」や「健康経営宣言」等があるが、特に中小企業において健康経営に関する認識を高めていく必要性が指摘されており、保険会社がコンサルティングサービスを展開していく余地があると恩蔵委員は示唆している。

 保険会社の健康経営に関しては、自社従業員に対する取り組みはもとより、広く契約者・国民・自治体 等に対する健康増進に関する取り組みが行われている。具体的には契約者向けの健康セミナーや医療・介護関連の情報提供、地方自治体等と連携した生活習慣病の予防プログラムの実施等のほか、「健康増進型医療保険」をはじめとした新商品開発・新サービスの提供等が挙げられる。

 最後に社会学や心理学の理論や枠組みから健康経営について整理したうえで、例えば「制御焦点理論」に基づき、生命保険会社はこれまで疾病予防などネガティブな結果の回避を重視する「予防焦点」の営業をしてきたが、「健康経営」はポジティブな結果への接近を重視する「促進焦点」との結びつきが強い。「健康経営コンサルティング」等をサービスとして営業していくにはマインド設定を予防から促進焦点に変える必要があると述べた。

2.共済団体報告「CO・OP共済 健康づくり支援企画」
  コープ共済連 組合員参加推進部 組合員参加・社会貢献活動グループマネジャー 塩原浩明氏

 コープ共済連では共済事業の剰余金を積み立てた「加入者貢献積立金」を用いて、地域生協による組合員の健康づくりや地域社会へ貢献する取り組みを支援・助成する企画を実施している。コープ共済連組合員参加推進部 組合員参加・社会貢献活動グループマネジャーの塩原浩明氏より当該企画の内容について紹介いただいた。

 活動資金の助成対象となっている地域生協における組合員の健康づくりの取り組みとしては「健康チャレンジ」「運動教室・ウォーキング企画」「食習慣チェック・出前型健康教室」「健康大学・つどいの場づくり・学びの場づくり」「機器やアプリ等(ベジチェック・ココカラダイアリー)を使った企画」等がある。

 地域生協による健康づくりの取り組み事例として、食習慣チェック(BDHQ)、ベジチェック、食生活相談会などを実施しているコープあいちによる「あいちをもっとたべよう、野菜をおいしくたべよう、食生活をみなおそう」および健康サロン、運動教室、オリジナル体操を企画したコープおきなわの取り組みについて具体的な内容を紹介いただいた。

3.事務局報告「生協共済研究会 2022年度活動報告および2023年度活動計画案」

 「生協共済研究会 2022年度活動報告および2023年度活動計画案」について事務局より報告し、委員による質疑応答をした。