研究活動

常設研究会 ― 生協共済研究会(第15期) 第3回報告 ―

○ 開催日時
2020年10月19日(月) 15:00~17:15
○ 開催会場
プラザエフ5階会議室
○ 参 加 者
41名 (委員7名、報告者1名、オブザーバー26、事務局7名)
テーマ
  1. ①報告者:米山高生 委員(東京経済大学教授)
    テーマ:「『たすけあい』を中心に考察した共済と保険の相違」
  2. ②報告者:李香淑 氏(iCOOP協同組合研究所先任研究員)
    崔桓碩 委員(八戸学院大学専任講師) テーマ:「韓国の社会的経済の共済の概況と法制度の課題」
概要

1.報告「「たすけあい」を中心に考察した共済と保険の相違」

  • 米山委員より「保険の仕組みの効用としての事故発生時の金銭的補償により困った人を助ける機能(たすけあいI)」「リスク区分をしない保険においては高リスク者が集中する逆選択が生じるが、組合員が共通の利害関係を有する共済においては低リスク者から高リスク者への内部補助を認める傾向がありこれが逆選択を抑制する要因となる可能性がある」「共済にはたすけあいをするために加入するのではなくても、自助とともに共助という意識が内部補助を容認する機能(たすけあいII)がある」「協同組合組織と保険会社におけるたすけあいIとたすけあいIIの関係」「消費者・生活者、共済団体の立場から共済を理解することの必要性」等の報告がされた。
  • 質疑では「自助・共助・公助でいうと共済・保険はチャリティーのような他助ではなく相互自助・互助といえるのではないか」「逆選択ともにモラルハザードの問題も大きいがモラルハザードにおいて保険と共済を分ける要素はあるのか」等の質問が出され回答がされた。

2.報告「韓国の社会的経済の共済の概況と法制度の課題」

  • 李香淑 氏より「韓国の共済の現状と法的根拠・監督官庁」「韓国における社会的経済基本法案と社会的経済の事業・活動の内容・各種協同組合等の社会的経済組織」「法律改正により生協の共済事業が可能となったが監督基準・施行規則が整備されず共済事業の認可がされない問題」「協同組合基本法の改善方向と社会的経済基本法の立法の努力」等について報告がされた。
  • 崔委員より韓国における農業協同組合の株式会社化、韓米FTAの発効、協同組合基本法の施行、監督当局の変更の必要性、少額短期保険の改定案の国会上程等の環境変化が説明された。また、日本と韓国の生協の共済事業に関する研究交流会の開催について報告がされた。
  • 質疑では「韓国の少額短期保険会社の最低資本金が日本より多い3億ウォン(約3000万円)となっているのはなぜか」「iCOOP研究所との交流会は共済分野に限定され内容なのか」等の質問が出され回答がされた。