研究活動

常設研究会 ― 生協共済研究会(第14期) 第2回報告 ―

○ 開催日時
2019年6月17日(月)15:00~17:50
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
33名 (委員6名、報告者1名、オブザーバー19、事務局7名)
テーマ
①報告者:
栗本昭(法政大学連帯社会インスティテュート教授、研究会委員)
 テーマ:
「生協共済のガバナンスについて考える」

②事務局報告

 テーマ:
「『生協共済の未来へのチャレンジ(仮)』の発行企画案について」
概要

1.報告「生協共済のガバナンスについて考える」

(1)栗本昭委員より主に次の3点について報告がされた。

  1. ①株式会社のガバナンスと協同組合のガバナンスの異同
     各国でのコーポレートガバナンス・CSRに向けた取り組みの経過、株式会社と協同組合の組織原理の違い(投資家所有と利用者所有、協同組合における組合員参加等)、2005年の新会社法におけるガバナンス規定の整備や自主行動規範等の制定、農協法・生協法改正における新会社法に対応したカバナンス規定の整備、社会的企業における理事会の機能モデル(エージェンシー理論・スチュワードシップ理論・ステークホルダー理論等)等について説明がされた。
  2. ②大規模協同組合におけるガバナンスの収れんの傾向
     イギリスのコ―ペラティブ・グループの経営危機に際しての理事会改革(理事定数の削減・経営専門家の参画)の説明がされ、次にガバナンスの収れんのモメントとしてコア事業への集中・大規模システムの構築等があること、分岐のモメントとしては組合員との関係・職員の位置づけ・コミュニティとの関係・社会的ディメンションがあること、カバナンス改革について各国で様々な試行錯誤が続けられていること等が説明された。
  3. ③共済生協は効果的なガバナンスを行っているか
     初めに生協共済の組織構造に特有のガバナンス問題(連合会と会員生協の2重構造)、共済生協のガバナンスのルール(法令・定款・監督指針・機関運営のガイドライン等)、会社法と生協法における総代会と総会・役員・理事会と取締役会・監事と監査役・外部監査・会計基準の比較について説明がされた。次に全労済とコープ共済連のガバナンスの構造と組織文化について説明がされた。

(2)報告後の質疑

 共済生協における「内部通報制度の運用」「適切な代議員の選出方法」「役員の任期や定年制の規定整備の必要性」「労働組合によるコミットメント」等について質問や意見が出され議論が行われた。

2.事務局報告「2020年度に出版を予定する『現代協同組合保険論(仮)』の編集構想について

 事務局の小塚研究員より2020年度に出版を予定する「『生協共済の未来へのチャレンジ(仮)』の発行企画案について、本の内容・読者層・タイトル等、前回の提案からの修正点を中心に説明がされた。その後、事前アンケートを基に委員及び事務局団体からの意見を発言していただき、問題意識の共有等を行った。本の具体的な構成や執筆者等については研究会の下に編集委員会を設置し検討を進めることを確認した。