研究活動

常設研究会 ― 生協共済研究会(第13期) 第5回報告 ―

○ 開催日時
2018年12月10日(月)15:00~17:35
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
31名(委員9名、報告者1名、オブザーバー15名、事務局6名)
テーマ
報告者①:
小泉武彦(日本少額短期保険協会 専務理事)
テーマ:
「少額短期保険の現状と課題」
概要

1.研究報告「少額短期保険の現状と課題」

  • 小泉武彦氏より主に次の4点について報告がされた。
  1. ①「少額短期保険の誕生と規制」
    少額短期保険の法的位置づけ、制度発足までの経過(2006年の改正保険業法施行により2年間の時限措置期間において保険会社へ移行、少額短期保険業者へ移行等を選択)、保険金額の上限規制と経過措置(死亡保険金の場合は上限300万円、ただし当初は経過措置として上限1500万円等)。
  2. ②「少額短期保険業界の現状」
    収入保険料および保有契約件数の推移(2017年度で収入保険料923億円、毎年2桁に近い成長率)、生損保との規模比較(生保全体に比較し収保ベースで0.03%、損保全体に比較し収保ベースで0.88%、)。
  3. ③ 少額短期保険業者の経営・商品の特色
    協会には現在98社が加盟しているが、旧共済からの移行会社が52社で、残りは業界誕生後の新規参入会社で、不動産管理会社、クッキングスクール、金融グループ等の異業種からの参入が多いのが特徴である。徹底したアウトソーシングによるローコスト経営、生・損保会社が扱わないようなニッチなマーケットを対象としたシンプルでユニークな商品開発を行っている(孤独死保険、健康年齢による保険料が変動する保険、登山のレスキュー費用保険等)。少短制度の導入当初は、生・損保は従来の生損保市場から少短を切り離す戦略を取っていたが、近年は、少短業界が成長していることから、協業・共存の動きが出てきている。また、インシュアテックへの対応としてリスク超細分化型スマホ修理保険の開発等を行っている。
  4. ④ 少額短期保険業界が解決すべき課題
    改正保険業法施行後、新たに事業を開始した会社も多いので、会社の経営基盤の確立や社会的信用を確保していく上で、経営カバナンスの確立とコンプライアンスの遵守徹底、事業基盤の強化(制度発足以降の事業破たんは無い)、認知度向上等が、課題だと考えている。情報開示(ディスクロージャー)は、法令に沿った最低限の対応はしているが、業界への理解と信頼を高めるためにも、もっと積極的に開示していくことが大事だと会員会社には要請している。
  • 報告の後の質疑では「家財保険が伸びた要因は何か」「再保険の割合が高い理由は何か」「生命保険会社・損害保険会社とのコラボレーションの取り組みはどのようなものか」「今後の成長の見込みについてどのように考えているか」「各社におけるディスクロージャーはどのように取り組まれているか」等の多くの質問が出され、小泉氏より回答がされた。

2.事務局報告

  • 事務局より2019年7月に発行を予定する『生協総研レポート』編集企画として執筆者・執筆テーマについて報告した。また、生協共済研究会「2018年度活動のまとめ、2019年度活動計画(案)」、2月1日に福岡市で開催する公開研究会「人生100年時代のライフプランニング」の開催企画を報告した。