研究活動

常設研究会 ― 生協共済研究会(第13期) 第2回報告 ―

○ 開催日時
2018年6月18日(月)15:00~17:30
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
33名(委員9名、報告者2名、オブザーバー17名、事務局5名)
テーマ
報告者:
猪ノ口 勝徳(JA共済総合研究所)
テーマ:
「世界の保険監督官は、相互会社・共済に関する規制・監督をどのように考えているか
 ―IAISのMCCOsの規制・監督に関する適用文書から」
報告者:
江澤 雅彦(早稲田大学)
テーマ:
「『協同組合論』の開講をめぐって」
概要

1.報告「世界の保険監督官は、相互会社・共済に関する規制・監督をどのように考えているか
―IAISのMCCOsの規制・監督に関する適用文書から」

  • 報告では猪ノ口氏より「はじめに」として次の説明がされた。IAIS(保険監督者国際機構)は保険監督の基本原則を定めたICP(保険基本原則)を採択し、各国の保険監督官はICPの枠組みに沿った監督行政を行うことになっている。しかし、ICPはすべての保険者に一律に適用されるわけではなく各保険者の「性格、規模、複雑性」に応じて、適切、柔軟に対応することが認められている。この一例がMCCOs(Mutuals,Cooperatives and Community-based Organizations:相互会社・共済・地域社会組織 )に関する規制・監督である。2017年9月にIAISからこのMCCOsの規制監督に関する適用文書が公表された。
  • 次に猪ノ口氏よりこの適用文書の目的(保険市場へのアクセスを高めることが貧困の削減などに有用)、比例原則(監督手段は組織の性格・規模・複雑性を考慮し必要以上のものとすべきではない)、MCCOsの特徴(会員所有、民主制、連帯、特定の集団・目的に奉仕、非営利)、ICPのMCCOsへの適用における留意点、日本の相互会社および共済と適用文書が想定するMCCOsとの関係等が説明された。
  • 質疑では「新保険業法で相互会社における保険金削減規定が削除されたが、契約者保護の観点からはどのように評価されるか」等の質問が出された。また、「欧州では、ミューチュアルの組織は低所得者対策や環境問題といった社会問題に対処するためのツールとして位置付けていること、そうすれば優遇税制といった措置も講じるといったことが明瞭であることが分かった。」等の感想が出された。

2.報告「『協同組合論』の開講をめぐって」

  • 江澤委員より2017年度に早稲田大学商学部に日本の大学の正規科目としてはおそらく最初に開設された専門科目「協同組合保険論」の開講の目的、12回の講義の内容、試験の答案から読み取れる学生の理解や受け止め、次年度の講義や単行本の刊行に向けた課題等が報告された。また、今回の報告文書は『生活協同組合研究』7月号に掲載予定であることが事務局より説明がされた。
  • 会場からの補足発言として講師を務めた全労済、大学生協共済連、JA共済連、賀川豊彦記念松沢資料館の参加者より講義の感想などが話された。

3.次回研究会 2018年8月下旬 午後3時~5時30分
 小川裕昭氏(西南学院大学)より「保険の相互扶助性を考える」というテーマで報告いただく。