研究活動

常設研究会 ― 生協共済研究会(第13期) 第1回報告 ―

○ 開催日時
2018年4月16日(月)15:00~17:40
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
28名(委員8名、報告者2名、オブザーバー14名、事務局6名)
テーマ
報告者:
崔 桓碩(八戸学院大学)
テーマ:
「韓国農協共済の保険株式会社化から何を学ぶか」
報告者:
栗本 昭(法政大学)
テーマ:
「韓国の協同組合法制と協同組合基本法」
概要

1.報告「韓国農協共済の保険株式会社化から何を学ぶか」

  • 崔委員より「1.はじめに」として、2012年3月の農協の株式会社化による共済事業の農協命保険と農業損害保険への分離、監督法規の農業協同組合法から保険業法への変更等が報告された。「2.農協の株式会社化について」では農協株式会社化の要因、農協株式会社化への組織改編、株式会社化による法改正、2013年の現地調査、株式会社化のメリットとデメリット等が報告された。「3.韓米FTAについて」では韓米FTAにおける保険・共済分野の主な内容、保険・共済のイコールフィッティング、保険ワーキンググループによる規制・監督の見直し、現在の韓米FTAの再交渉の状況等が報告された。「4.農協生命保険の経営特性および組織アイデンティティ分析」では農協生命保険の収支構造の変化、商品構成や販売チャネル・資産運用の変化、農協生命保険の組織アイデンティティ分析が報告された。「5.おわりに」では農協の株式会社化は組合員を満足させているか、協同組合基本法制定の背景と内容等が報告された。
  • 質疑では「農協生命保険の株式会社の上場の可能性はどうか」「農協生命保険で増加した非正規職員の置かれた状況はどのようなものか」「協同組合基本法の下で社会的協同組合が作られているが、伝統的な協同組合である農協は共済事業を通じてどのような社会的貢献をしようとしているのか」といった質問が出された。

2.関連報告「韓国の協同組合法制と協同組合基本法」

  • 栗本委員より最初に「1.韓国法制度の特質」として韓国は日本に近似した法制度であり行政組織による立法が多いこと、3か国語(ハングル、英語、中国語)で法令データベースが整備されていること等が報告された。「2.韓国の社会的経済・社会的企業の展開」では若者の就職難、少子高齢化の進行、高齢者の困窮といった社会状況とそれを緩和するための政策としての社会的企業の育成、協同組合基本法の制定、都市再生支援法の制定等が報告された。「3.韓国の協同組合法制」では8つの監督官庁ごとに8つの協同組合が立法化されていること、生協法は日本をモデルに立法されたが員外利用完全禁止・連合会規程の欠如等制約が多いことが報告された。「4.協同組合基本法」では2012年12月に施行された協同組合基本法はイタリアやカナダの協同組合の制度から学び制定されたこと、他の法律で設立された協同組合は適用除外であること、金融を除くすべての事業について5人以上で設立できること等が報告された。
  • 討議では、日本の協同組合の縦割りの法制度を一本化するのは無理だがJCA(日本協同組合連携機構)の設立は画期的であり、先進的な地域の事例を集めて協同組合の法制度についても研究を進めてほしいといった意見が出された。