研究活動

常設研究会 ― 生協共済研究会(第12期) 第3回報告 ―

○ 開催日時
2017年8月28日(月) 15:00~17:40
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
30名 (委員8名、報告者1名、オブザーバー16名、事務局5名)
テーマ
報告者:
横溝 大介(日本共済協会)
テーマ:
「アメリカのフラターナル組合から、何を学ぶか ― 組合員参加、相互扶助活動と地域貢献」
報告者:
栗本 昭(法政大学・連帯社会インスティチュート教授)
テーマ:
「『生活の協同』と生協共済の役割」

報告と討議「全国研究集会の運営、準備について」
その他報告

概要

1.報告①「アメリカのフラターナル組合から、何を学ぶか ― 組合員参加、相互扶助活動と地域貢献」

 アメリカには、共通の宗教、人種等を基盤として保険の提供と友愛的・社会的活動を行うフラターナル組合がある。その最大の組織であるスライベント・フィナンシャル(ミネソタ州ミネアポリス)での滞在経験を基に、同社の組合員重視の組織風土と組合員によるコミュニティ活動から何を学ぶかを横溝氏より報告いただいた。報告の概要は次のとおり。

  • スライベント・フィナンシャルは組合員230万人、契約件数303万件、年間掛金収入約57億ドル。職員数3000人。非営利団体として約3.4億ドルの連邦税・州税が免税され、約1.8億ドルをフラターナル活動に使用しコミュニティへ還元している。
  • スライベントウエイとして「バリュー(キリスト教徒のメンバーシップ組織で組合員は組織のオーナー)」「ミッション(組合員に賢い経済観念を持ってもらい慈善に満ちた人生を歩んでもらう)」「ビジョン(組合員、家族、コミュニティの繁栄)」を定めている。
  • 組合員のボランティア活動の後押し(スライベント・アクションチーム)、家の新築のボランティアによる貧困層支援(スライベント・ビルズ)、組合員が寄付先を指定する女性プログラム(スライベント・チョイス)といった組合員の参加を促す取り組みをしている。

2.報告②「『生活の協同』と生協共済の役割」

 過去から現代にいたる家族・団体・国家等における「生活の協同」の概要、国家による社会保障制度の導入等による生活の協同のあり方の変遷、現在の高齢者の孤立や貧困・ひきこもり等の問題に対応した生活の協同の再構築の必要性、自助・互助・共助と公助といった生活の協同の枠組みの中で協同組合がその担い手となるための条件等について栗本昭氏より報告をいただいた。

 また、全国研究集会のテーマに関連し、生協の共済事業においては「さまざまな生活のリスクに対する生活保障の提供」「大規模自然災害に対する生活保障の提供」「商品開発への組合員の参加」「消費者への金融や社会保障等の教育の場の提供」「地域ささえあい助成等による地域づくりへの積極的関与」等が「生活の協同」における役割として期待されることが報告された。

3.報告と討議「全国研究集会の運営、準備について」

  • 全国研究集会のプログラム、各団体からの報告者、パネリスト、研究集会への研究会委員の参加、パネルディスカッションの運営等について事務局より報告した。

4.その他報告

  • ICMIF大会(ロンドン)への崔委員の参加について事務局より報告した。
  • 10/28~29日開催の日本保険学会全国大会でのポスターセッションに生協共済研究会の活動を紹介し生協共済への理解を広げることを目的に参加することを事務局より報告した。
  • 共済生協研究会の2017年度下期の第4回~第6回の報告テーマ案について事務局より報告した。