研究活動

常設研究会 ― 生協共済研究会(第11期) 第3回報告 ―

○ 開催日時
2016年8月31日(水)15:00~17:30
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
21名(委員11名、オブザーバー3名、事務局7名)
テーマ
報告者:
千々松 愛子(鎌倉女子大学家政学部 准教授)
テーマ:
「大学の学部教育・教養教育における保険教育の意義」
報告者:
小野 健太郎(日本大学国際関係学部 教授)
テーマ:
「消費者トラブル(民法、消費者契約法を中心として)、契約概念、消費者保護教育システムの動向」
概要

1.報告①「大学の学部教育・教養教育における保険教育の意義」

 「法教育」では、日常生活での法領域が拡大する中で消費者の方に関する基本的知識の習得と活用能力が求められるようになっていること、法教育の定義と大学での法教育の実際について簡単に紹介。「女子大学での法教育、保険教育」では、女子大の専攻特性として戦前の女子専門学校の教育が引き継がれている部分と、実践的総合科学への広がりが出ている部分があること、生活者の視点が重視されること、女子大学ゆえの問題点があることなどが紹介された。学生の意識では、「法律は難しい。守らなければならない」「保険は、興味がない。自分には無理・むずかしい」「職業選択につながらない科目」などがある。今後の課題では、保険等の関係団体の協力を得た実学講座を開設していくとして、CO・OP共済のLPAを講師に招いての講義を計画中であることが紹介された。

2.報告②「消費者トラブル(民法、消費者契約法を中心として)、契約概念、消費者保護教育システムの動向」

 戦後の消費者問題・事件と消費者保護の法制度整備を振り返り、保護の対象としての消費者から、自立した消費者、権利の主体者としての消費者像に変わってきたことを確認。消費者教育については、2012年の消費者教育推進法の施行とそれに基づく「消費者教育推進の基本方針」の内容に触れ、報告者が参画した三島市の消費者教育推進計画を紹介した。市民社会・市民生活での重要な権利である「契約の自由」について、その考え方と実施のトラブル事例を解説した。消費者教育を推進することにより、消費者のトラブル対応能力を高めることが提起されているが、現実の問題としてはかなり厳しい課題である。報告者自身は、三島市の推進計画策定に参加したことが勉強になり、消費者の一歩一歩の着実な発展が必要であることを自覚した、と最後にまとめられた。