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研究活動

常設研究会 ― 組合員の参加と購買行動研究会 第1回報告 ―

○ 開催日時
2015年5月15日(金) 14:15~17:15
○ 開催会場
コーププラザ4階 小会議室
○ 参 加 者
10名(委員8名、事務局2名)
テーマ
報告者:
星野浩美 委員、米田敬太郎 委員(コープさっぽろ)
テーマ:
「コープさっぽろの事例報告」
報告者:
藤井親継 委員 (コープネット事業連合)
テーマ:
「組合員参加・購買行動に関して直面している業務課題」
概要

 第一回は「参加」の概念を研究会ではどのように定義するのか、分析概念にできるのか、という点を討議した。参加は他営利流通企業との差別化に大変使えそうであるが、本当に効果があるのだろうか、というのが研究会の課題であり、ここを実証することが重要である。参加を促進することで、購買事業に優位性をもたせる(他企業に比する)ことが可能だろうか。参加より利便性である、商品であるという結論もありうるなかで、参加を取り上げた。

1. 星野・米田報告 骨子

 参加とは一緒に何かの行動をすることであり、定義は広範囲で、分析概念として使うのは難しいところである。単純に「農家レストランに参加した人は利用が多い、ロイヤリティが高い」と仮に結果が出ても、活動の場は広範囲であり、どのレベルで参加を考えるか、なかなか測定することは難しい。コープさっぽろにおいては、どのような組合員活動においても組合員番号を伺うように職員に徹底してきており、その習慣が根付いてきた。総合的な参加と購買の分析は、これらの組合員の行動をみるということになるので、今後の大きな課題である。

 購買行動は常に「「競合」との相対的なプロバイダー間の商品構成の結果で決まる消費行動といえ、参加はロイヤリティの掲載や、地域責任という点では効果があると考えているが、直接的な購買行動への影響はあまりないと考える。これらを「ラブコープキャンペーン」で組合員活動との連携場面を多くつくるので、実証してみたい。

2. 藤田報告

 日本生協連の中期計画によると「利用」も参加の範疇に含め、どのような利用をするのか、ということが参加の主な範疇である。しかし、差別化の点では、組合員参加というのは他の営利団体にはみられないことなので、どのように分析をしたらよいのか、考えたい。

●上山先生のまとめ:「参加」を購買そのものから捉えるとすると、研究会の課題は、いかに「優良な組合員」を育てるか、そのためには、商品事業はもちろん、他の何が効果があり、どのような体験をすると、優良な組合員と、ロイヤリティのある購買行動をするようになるか、ということになる。組合員教育という視点は必要だが、今回の研究は実態調査を主眼に、参加のレベルと購買の動向をあきらかにするべきだ。

●近本委員の感想:協同組合の原則となっている「出資・参加・利用」が実はあいまいな概念だったということが改めて判明した。変数となる行動や場面がとても多様で、数も多い。出資は明快な行動であるが、参加と利用の定義域はとてもあいまいである。利用は購入という明快な行動をさすが、参加は利用も含む大きな概念で、運営参加に限定できない組合員の諸活動が現出しているのが、日本の協同組合だと思う。