研究活動

常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第42回報告 ―

○ 開催日時
2019年11月25日(月)17:00~19:10
○ 開催会場
プラザエフ5階会議室
○ 参加者
10名(委員5名、事務局2名、オブザーバー3名)
テーマ
報 告:
栗本昭座長
テーマ:
「協同組合基本法をめぐる論点と問題提起~協同組合基本法骨子案」
報告の要旨
1.栗本昭座長が「協同組合基本法をめぐる論点と問題提起~協同組合基本法骨子案」を報告した。
  1. (1)なぜ、いま協同組合基本法なのか
     日本の協同組合法制の特徴、協同組合法制をめぐる世界的な流れ、なぜ協同組合基本法が必要なのかについて、いずれも第41回研究会で示された各論点を展開する形で報告された。日本の協同組合法制度の特徴では「会社法、非営利法人法と比べての協同組合法制の現代化の立ち遅れ」も挙げられ、協同組合基本法の必要性としては理念法・一般法・改革促進法としての3つの意義が背景認識とともに確認された。
  2. (2)協同組合基本法をめぐる10の論点
     日本の「基本法」制度と協同組合基本法(案)のあり方については【論点①】理念法と一般法を統合した「基本法」は可能か。理念法としての協同組合基本法の4つの論点として【論点②】何を基本原則とするか、【論点③】既存の個別協同組合法との関係をどうするか、【論点④】法人税法、独禁法、労働法など他の法律との関係をどう整理するか、【論点⑤】行政機関との関係をどう整理するか。一般法としての協同組合基本法の5つの論点として【論点⑥】準則主義をどう考えるか、【論点⑦】区域の設定についてどう考えるか、【論点⑧】員外利用についてどう考えるか、【論点⑨】残余財産の分配を制限する不分割準備金を導入するか、【論点⑩】組織変更のあり方、とりわけ「分割」についてどう考えるか。これらの論点について、栗本座長の見解がそれぞれ示された。
  3. (3)協同組合基本法骨子案
     骨子案は、第1章「総則」(第1~7条:目的、定義、名称、基本原則など)、第2章「一般協同組合」(第8~40条:事業の種類、事業の利用、組合員資格、出資及び責任、議決権及び選挙権、総会、総代会、役員、理事会、合併・分割・解散及び清算など)、第3章「一般協同組合連合会」、附則から構成されている。
2.意見交換

 宮部委員より、(1)の「認可主義と監督官庁による規制」については協同組合法制の「本質的な側面」と「政策的な側面」を区分した上でその妥当性を論じる方が良いのではないかとの意見、(2)の【論点④】は一般法部分で論じられるべき論点ではないかとの意見、(3)の骨子案は条文形式での整理は作業量からして今回は現実的ではないのではないかとの意見等が、資料に基づき述べられた。関委員からは産業組合法が戦後に個別協同組合法となった時代背景についての質問、一般法人法の欠如が組織法・事業法混在の最大の原因であるとの意見、理念法と一般法を一体化した基本法が認められる可能性は低いとの意見等、中島委員からは「新しいニーズに応える自由な協同組合設立」を促進する視点が重要であるとの意見等が出された。