常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第41回報告 ―
- ○ 開催日時
- 2019年9月24日(月)17:00~19:10
- ○ 開催会場
- プラザエフ5階会議室
- ○ 参加者
- 14名(委員5名、事務局2名、オブザーバー13名)
テーマ
- 報 告:
- 小熊竹彦(生協総合研究所事務局長)
- テーマ:
- 「協同組合法制度研究会の今後の進め方について」
- 報 告:
- 栗本昭座長
- テーマ:
- 「日本の協同組合法制の特徴と協同組合基本法の論点」
概要
本研究会は 2019 年度事業計画で、「日本の協同組合法制度の課題整理と、今後のめざす方向(案)」をまとめることを掲げた。3期6年間の研究会活動の積み上げとJCAの動向など情勢の変化に鑑み、下期の研究会で「協同組合基本法」に焦点をあてて「提言」をまとめることを、事務局より提案した。
報告の要旨
1.小熊竹彦事務局長が、「協同組合法制度研究会の今後の進め方」を提案した。
主旨:歴史的な転換点に差し掛かりつつある日本の経済社会において、あらためて協同組合の理念と価値への理解と共感を広げ、様々な地域課題解決に向けて、共助・互助の組織として協同組合を容易に設立できる社会的な基盤を形成するため、協同組合基本法を実現していくことを提言する。
2.栗本昭座長が「日本の協同組合法制の特徴と協同組合基本法の論点」を報告した。
- (1)日本の協同組合法制の特徴
産業政策別の立法、組織法と事業法の混在、厳格な事業規制等先進国では例を見ないような統制的な法制度で、社会の新しいニーズにこたえる自由な協同組合の設立を阻害している。 - (2)協同組合基本法の必要性
共通の協同組合政策が求められている現在、協同組合の基本原則や理念を盛り込み、政府・行政の役割を明確にする協同組合基本法が必要。これにより、職能別協同組合法では設立できない協同組合の設立を可能にすることができる。 - (3)参照すべき国際的規範・原則
ICA:協同組合のアイデンティティ声明(1995)、国連・ILO:ガイドラインや勧告(2001・2002・2012)など、国際的なガイドラインを参照し、検討していくべき。 - (4)参照すべき先行研究
欧州委員会:欧州協同組合法に関する研究報告(2012)、等、先進国の協同組合や経済の研究者グループの先行研究も、基本法を検討するうえで参照していくべき。 - (5)参照すべき立法例
ドイツ協同組合法(2007)、韓国協同組合基本法(2011)、労働者協同組合法案(2019)などが、規定を具体的に検討していくうえで参考になる。 - (6)協同組合基本法の論点(総則部分/一般協同組合法部分)
目的と基本理念(後者には協同組合のアイデンティティ声明を盛り込む)。既存の個別協同組合法には直ちに適用しないが、基本法制定後の法令制定・改定で基本法の目的・原則に合致させる。
一般法部分では、組合員資格・事業ともに限定せず(信用・共済事業を除く)、員外利用も定款での規定等により可とする。合併や解散・清算に加え、分割や事業譲渡の規定を盛り込む。
3.意見交換
宮部委員より、監督官庁の権限が強い中で一般法が受け入れられる可能性、執行機能のない協同組合政策審議会の実効性、分割規定の難しさ等について意見が出された。関委員からは、準則主義と行政機関との関係についての意見、韓国の法制度に関する質問等が出された。